徒然日記
ジリ貧の未体験ゾーンへ【25年11月21日 『逢坂誠二の徒然日記』8360回】
1)ジリ貧の未体験ゾーンへ
このところ金融市場では、円安・債券安・株安の「トリプル安」が進行し、市場が高市政権の積極財政に懸念を抱きはじめているとの報道が一部に見られます。
実際、長期金利の指標となる10年物国債利回りは1.75%にまで上昇し、高止まり傾向が続いています。為替もドルに対して、ユーロに対して、ともに円安が進行しています。株価は昨日こそ持ち直したものの、先行きが開けているとは言いがたい状況です。
高市総理は、財政健全化は単年度ではなく複数年度で考えるべきだとの立場から、一時的な赤字国債の増発を容認する姿勢を示しています。積極財政によって景気を押し上げ、その結果として税収を増やしていく――総理は、こうした好循環を展望しているのだと思います。
しかし、市場が示しはじめたサインは、その見通しとは逆方向です。
*財政出動が、かえって財政悪化を招くのではないか
*国債増発が、国債利回りの上昇を通じて金利全体を押し上げるのではないか
*利回り上昇が、日本の信用力低下と受け止められるのではないか
*結果として、さらなる円安を招くのではないか
こうした負の連鎖に、徐々に足を踏み入れつつあるようにも見えます。
私自身、景気や暮らしを下支えするための財政出動そのものは必要だと考えています。他方で、今回のトリプル安の主因が積極財政にあると、現時点で断定することにもためらいがあります。日銀の財務状況、政府全体の財政バランス、今後の貿易収支の構造的な変化など、日本経済全体の「地力」の低下が背景にあるのではないか――そのような感覚も拭えません。
一気に円安・債券安・株安が加速するというよりも、上下変動を繰り返しながら、じりじりと価値が目減りしていく。私はむしろ、そうした姿を想定しています。いずれにしても、日本経済、日本社会が、かつて経験したことのない領域に入りつつあることだけは間違いありません。
だからこそ、金融・財政のハンドリングには、これまで以上に慎重さと一貫性が求められます。同時に、短期的な景気対策だけではなく、日本の底力そのものを高めていく中長期の戦略が欠かせません。
その土台となるのが、人への投資としての教育と、食料と暮らしの基盤を支える一次産業への戦略的な投資です。子どもや若者が安心して学び、挑戦できる環境を整えること、地域の農業・林業・水産業を持続可能な形で再生していくことなしに、日本の国力回復はあり得ません。今こそ、足元の市場変動に一喜一憂するだけでなく、次の世代のために何に資源を振り向けるべきか、その優先順位を問い直す時だと強く感じています。
【25年11月21日 その6663『逢坂誠二の徒然日記』8360回】
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>>一気に円安・債券安・株安が加速するというよりも、上下変動を繰り返しながら、じりじりと価値が目減りしていく。私はむしろ、そうした姿を想定しています。
とのことですが、それは随分悠長で、甘いのではないかと思います。
イギリスのトラスショックにせよ一昔前のタイの通貨危機にせよ、下がるときは急速です。日本の現在の財政状況は当時のイギリスよりはるかに悪いわけですし。
そもそも日銀が買い入れたETFの売却に100年以上かけるという決定自体が、そうしないと株安が一気に加速しかねないという懸念の表れでしょう。禁じ手を使って既に大量に保有してしまった国債に至っては、売却どころか買い入れ減額のペースを落とす、つまり計画より多くの国債を未だに買い入れている始末です。
ここまで無責任なことをしてやっと何とか急落を押しとどめている、というのが現実でしょう。
「景気や暮らしを下支えするための財政出動そのものは必要」はその通りだと思いますが、財政出動の財源を国債に求めるなら、その国債は一体誰が買うのでしょうか?
またもや日銀に買わせるなら、問題の先送りどころかそのつけはさらに大きくなる悪循環です。