徒然日記

日本の創薬力の低下【25年10月14日 『逢坂誠二の徒然日記』8322回】

昨日は、休日でしたが、懸案事項に対応するため議員会館で仕事をしました。休日の議員会館は怖いくらい静かです。

1)日本の創薬力の低下
かつて日本は、世界の医薬品市場で確かな存在感を持っていました。
2000年代半ばには、日本メーカーが創出した新薬の世界シェアが14%を超え、米欧に肩を並べるほどでした。
しかし現在、そのシェアは10%前後にとどまり、上位企業の売上高も世界大手と比べて半分以下の水準となっています。
かつて「創薬大国」と呼ばれた日本の姿は、いまや薄れつつあります。

<バイオ医薬品が主流に>
この背景には、企業努力だけでは解決できない産業構造の変化があります。
世界の医薬品市場では、抗体医薬や遺伝子・細胞治療などのバイオ医薬品が急速に拡大しています。
2006年には2割程度だったバイオ医薬品の売上比率が、2022年には5割を超えました。
現在、世界の売上ランキング上位10品目のすべてがバイオ医薬品です。
かつて市場を席巻したコレステロール薬や降圧剤といった低分子医薬は、すでに主役の座を譲っています。

<日本の開発構造が時代に追いつかない>
一方で、日本の研究開発体制はいまだに低分子薬中心の構造にとどまっています。
抗体医薬、mRNA、細胞治療など、新しい技術領域への対応が遅れ、世界市場での競争力を失いつつあります。
バイオ分野における人材や資金、研究インフラの不足が大きな課題であり、技術革新の波に十分乗り切れていません。

<深刻化するドラッグ・ロス>
さらに深刻なのは、ドラッグ・ロス(開発されない薬)の問題です。
欧米では承認されているのに、日本では開発すら始まっていない医薬品が86品目あります。
その半数以上はベンチャー企業が創出した薬で、希少疾患や小児向けのものが多いのが特徴です。
つまり、日本では「新しい薬が遅れて届く」だけでなく、
「届かない薬」そのものが増えているのです。

<ベンチャーとアカデミアの壁>
いまや創薬の主戦場は、大手企業から大学やベンチャーへと移っています。
しかし日本では、アカデミアからベンチャーへ、
そして製薬企業へとつなぐ橋渡しの仕組みが十分に整っていません。
資金調達の難しさや治験体制の不備も、ベンチャー企業の成長を妨げています。
このままでは、新しい発想や技術が実際の治療薬へと結びつきにくい状況が続いてしまいます。

<再び創薬に光を>
日本のモノやサービスの貿易収支が赤字基調になる中で、
私は創薬こそ日本の再成長の鍵だと感じています。
日本が再び創薬力を取り戻すためには、
 *バイオ・創薬ベンチャーへの支援強化
 *薬価制度の見直し
 *研究者の育成
 *アカデミアと企業の連携強化
といった総合的な政策対応が必要です。
世界の潮流を的確にとらえ、
日本発の新薬が再び世界の患者に届く国へ。
そのために、いまこそ創薬の基盤を立て直す時です。

【25年10月14日 その6625『逢坂誠二の徒然日記』8322回】
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