徒然日記

賃金の上がらない30年からの転換(逢坂誠二の徒然日記)

【25年8月4日 『逢坂誠二の徒然日記』8251回】
午前4時の函館、空全体に高めの雲が広がっています。朝の気温は22度。日中も雲りで予想最高気温は29度、夜遅く雨いなるかもしれません。

1)賃金の上がらない30年からの転換

<経済の好循環>
賃金が上がる
 → モノが売れる
  → 経営者が儲かり設備投資も進む
   → 景気が良くなる
    → また賃金が上がる

<これまでの30年間>
賃金が上がらない
 → モノが売れない
  → 経営者が儲からず設備投資もしない
   → 景気が低迷
    → さらに賃金が上がらない

賃金が上がることは、経営者にとっても、経済全体にとっても、決して悪いことではありません。むしろ、賃金の上昇は消費を喚起し、企業の売上と利益を押し上げ、さらなる投資と成長を促す――まさに経済の「好循環」の起点となるものです。

かつての日本社会では、「お客様は神様」であると同時に、「従業員は宝物」でした。企業が収益を上げたときには、その果実を従業員と分かち合い、働く人々の生活が豊かになることで消費が伸び、企業もまた潤うという循環が、ごく自然に存在していたのです。

しかし、この30年間、そして現在においてもなお、経営者の一部には「賃金が上がるのは悪いこと」「人件費はできる限り抑えるべきだ」といった誤った認識が根強く残っているように思われます。自民党政権やその支持者の中には、労働組合や賃上げを「企業活動の妨げ」と見なすような考え方すら見られます。

特に小泉政権以降、グローバル競争や規制緩和の名のもとに、労働のあり方は大きく変化しました。企業経営においては、株主利益の最大化が強く求められ、「人」は宝物ではなく、削減すべき「コスト」として扱われるようになりました。同じ仕事であれば、より人件費の安い労働者を選ぶという傾向が顕著となり、その結果、非正規雇用が急増。働く人々の賃金水準は伸び悩み、消費は冷え込み、経済全体の停滞を招いてきたのです。

このように見れば、過去30年余りの自民党政権の労働政策は、景気回復の好循環を妨げるものであり、むしろ景気対策とは真っ向から矛盾するものであったと言わざるを得ません。

私たちは今こそ、「人をコストとして削減する経営」から、「人を育て、共に成長する経営」への転換を進めなければなりません。人への投資こそが、企業の競争力を高め、社会全体の持続可能性を支える礎なのです。

もちろん、すべての企業がただちに賃上げを実行できるわけではないという現実も、冷静に受け止めなければなりません。潤沢な内部留保を持つ大企業であれば、賃上げの余地も責任も十分にあるでしょう。しかし、中小・零細企業にとって、賃上げは経営そのものを揺るがしかねない重大な課題です。

したがって、中小企業に一方的に賃上げだけを迫ることは酷であり、現実的ではありません。重要なのは、中小・零細企業も賃上げが可能となる環境を、社会全体で整えていくことです。

たとえば、
*適正な価格転嫁を可能にする取引慣行の見直し
*税制上の優遇措置
*社会保険料の軽減
*賃上げを行った企業への直接的な財政支援
といった、政策的な後押しが不可欠です。こうした取り組みによって、「賃上げしたくてもできない」企業を、「賃上げできる」企業へと変えていくことが、政治の役割であり責任です。

人への投資が可能な社会へ、そして、賃上げによって成長の好循環が再び生まれる経済へ。その実現に向けて、現実を丁寧に見つめながら、大胆かつ具体的な政策を示していく――そのことが、いま政治が取り組むべきことなのです。

【25年8月4日 その6554『逢坂誠二の徒然日記』8251回】
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皆様のコメントを受け付けております。

  1. 「適正な価格転嫁を可能にする取引慣行の見直し」はその通りだと思いますが、
    「税制上の優遇措置」「社会保険料の軽減」「賃上げを行った企業への直接的な財政支援」は
    全てインフレ政策であり、物価高を加速させるだけです。
    そもそも、一体なぜ税金で私企業の賃上げを助けなければならないのか?

    日銀が政策金利を上げて物価をコントロールしない限り、「物価と賃金の好循環」など
    絶対にありえず、実質賃金は低下の一途です。
    だから他の国では不況でもインフレ時に金利を上げるのです。上げざるを得ないのです。

    それができない状態になっていることが根本的な問題であり、それを指摘、
    是正すべきであるのに、なぜ野党第一党がそれをしようとしないのか?

    ガソリン税の暫定税率廃止も本当に無責任かつ醜悪です。
    財源を赤字国債で賄うなら円安インフレはますます加速するだけです。
    そして、この政策はどう言い繕っても
    「皆さん、安心してガソリンを消費し、温室効果ガスをジャンジャンまき散らしましょう!!」
    とアナウンスしているのと同じです。
    先の通常国会最終盤での強行採決も、逢坂さんご自身は疑問を発信されていたと思いますが、
    醜悪そのものでした。結局自民党と同じことをしましたね。

    「責任政党」を自称する党として、恥ずかしくないのでしょうか。
    「今だけ、金だけ、自分だけ」をたびたび強く批判されていて、
    私もまさに共感していたところなのですが。

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