徒然日記
トランプ関税への対応(逢坂誠二の徒然日記)
昨日急遽、ニセコ入りしました。午前5時のニセコ、空全体に雲が広がっていますが、雨は降っていません。朝の気温は11度程度。日中も曇りですが、夕方には晴れるようです。予想最高気温は16度の見込みです。
1)トランプ関税への対応
トランプ政権下で導入された関税政策は、日本のみならず、アメリカ国内の多くの企業や消費者にも深刻な影響を及ぼしています。しかしながら、日本政府の対応は全体として受け身であり、戦略性に欠けていると言わざるを得ません。
私は以前から指摘しておりますが、日本はアメリカとの2国間協議に入る前に、他国と連携して国際的な圧力を形成し、またアメリカ国内に存在する「反関税派」とも協力することで、より有利な交渉環境を築くことが可能であったと考えます。
第一に、アメリカの関税政策は日本だけを対象としたものではありません。鉄鋼、アルミ、自動車といった分野への関税措置は、EU、カナダ、韓国、メキシコなど多くの国々を同時に巻き込んでおり、共通の利害関係を持つ国々が存在しております。こうした国々と連携し、アメリカに対する多国間の対抗構造を築いておけば、単独で交渉に臨むよりも大きな抑止力を発揮し、交渉上の立場も強化された可能性があります。他国と共に、トランプ政権の手法が国際ルールに反するものであることを訴えるべきでしたが、日本は早々に2国間交渉へと進んでしまいました。
第二に、日本政府はアメリカ国内の関税反対勢力へのロビー活動を、より戦略的に展開すべきでした。関税政策は、アメリカ国内でも多くの企業や産業界、さらには消費者にとって不利益をもたらしており、例えば鉄鋼やアルミ価格の上昇は製造業全体のコスト増加を招き、自動車産業では部品調達費の増加に直面しました。農業分野でも報復関税の影響で輸出先を失うリスクが生じ、家電や自動車の価格上昇によって消費者の生活も圧迫されています。
こうした状況の中、アメリカ国内には自由貿易を支持する議員、関税政策に反対する業界団体や州知事など、幅広い勢力が存在していました。日本政府がこれらの勢力と連携し、議会への働きかけや共同声明の発出、メディアを通じた情報発信を行っていれば、アメリカ政府内から関税政策を見直す動き、いわば「内圧」を形成できた可能性があります。
しかし現実には、日本政府によるロビー活動は限られた接触にとどまり、産業団体との連携も個別企業に任される形となり、国家としての戦略性は十分ではありませんでした。また、日本企業が拠点を置く州政府との関係性や、地域経済への貢献といった政治的資源を活かした働きかけも乏しく、消費者への影響を通じた世論形成も行われませんでした。
今からでも遅くはありません。日本政府は、国際的な共闘による「外圧」と、アメリカ国内の関税反対勢力との「内圧」を組み合わせることで、関税政策への働きかけを複合的に進めていくべきです。外交交渉は政府間の対話だけでなく、相手国の政治力学を冷静に見極め、どの勢力と連携すれば最も効果的な影響を与えられるかという、戦略的視野が欠かせません。
2)函館、ニセコ、そして札幌へ
昨日、函館での活動を終えた後、JRでニセコに入りました。函館からニセコまでの車窓の風景は、子どもの頃から慣れ親しんできたもので、今も変わらず懐かしさを覚えます。なかでも、長万部から先のいわゆる「山線」の区間は、心に深くしみ入る景色が続きます。
春の訪れが遅い後志の山あいでは、いまようやく木々の芽吹きが始まったばかり。霧のような細かい雨が降る中、墨絵のような空に包まれた山線の風景を存分に味わいました。
かつて畑や田んぼだった土地が雑木林に変わり、にぎわっていた商店が廃屋になっている様子に触れ、胸が締めつけられる思いがしました。効率性、合理性、生産性といった価値観が支配してきたこの半世紀の歩みを振り返り、本当に大切なものを私たちは失ってしまったのではないか――そんな思いが胸をよぎります。
今日は、JRでニセコから札幌へと向かいます。廃止が決まっている山線の列車に揺られながら、私たちはこの風景から何を学ぶべきか、自らに問いかける、思索の時間になることでしょう。
【25年5月11日 その6469『逢坂誠二の徒然日記』8166回】
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