徒然日記

提言を放置(逢坂誠二の徒然日記)

【24年12月27日 『逢坂誠二の徒然日記』8031回】
午前5時の函館、空全体に雲があります。氷点下5度程度です。日中は雪、氷点下3度で真冬日の予報です。

1)提言を放置
福島第1原発事故に関し、国会に事故調査委員会が設置され2012年7月5日に調査報告書が発表されました。報告書のアウトラインは以下です。

【結論】
・福島第1原発事故はいまだ収束していない
・巨大津波による全電源喪失や炉心損傷は「想定外」ではない
・規制当局と東電の立場が逆転し、監視機能は崩壊
・事故は自然災害ではなく明らかに人災である
・安全上重要な機器に、地震による損傷がないとは言えない
・首相官邸の現場介入などで指揮系統が混乱し、危機管理体制が機能せず、被害が拡大した
・住民の避難が混乱した根底には、官邸や規制当局の危機管理意識の低さがある

【主な提言】
(1)国会に規制当局を監視する常設委員会の設置
(2)政府の危機管理体制の抜本的見直し
(3)被災住民に対する政府の対応
(4)国会主導による電気事業者に対する立ち入り調査権を伴う監査体制の構築
(5)高い独立性や一元化、専門性などを満たす新しい規制組織の発足
(6)原子力規制法の見直し
(5)国会に未解明部分の事故原因の究明などを調査する民間の専門家による第三者機関の設置

事故調からは国会に対する提言も行われました。

*常任委員会の設置
*国会主導による電気事業者に対する監査体制の構築
*国会に事故原因の究明などをする調査委員会の設置

上記の通り、国会には、少なくともこの3つ提言がされました。しかし提言から12年が経過しますが、国会ではこれらの提言のただの一つも実現していません。提言が実現していないどころか、提言とは逆の現実になっているものもあると感じています。

提言から12年、結果的に、この間の国会は寝ていたも同然です。衆院で与野党逆転となった今、遅きに失したとはいえ、提言の実施に向けて動きださねばなりません。

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以下蛇足。個人的感想です。

日本では、何かの事象が発生した際、その問題をしっかりと検証して、後世への教訓とすることが極めて少ないと感じています。反省をするとか、申し訳ないなどの言葉は踊りますが、事象の分析検証がないのです。

例えばイラク戦争に対する日本の対応、沖縄返還の密約、長野五輪、東京五輪、アベノミクス、あるいは現在進行形の自民の裏金問題など、その事例は枚挙にいとまがありません。

==以下【24年2月13日 その6016『逢坂誠二の徒然日記』 #7713】から抜粋==

過去の不都合な事実を検証し、それから得られる教訓を将来に活かすことをしなければ、日本は進化できません。

「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります」

これはドイツのヴァイツゼッカー元大統領の85年の有名な演説の一節です。私たちの国は不都合な過去に目を閉ざし続け、結局は今が見えなくなっているのではないでしょうか。

イラク戦争に関し、日本とイギリスの対応には、天と地ほどの差があります。

イラク戦争は、2003年3月、米軍のバグダートへの奇襲攻撃で始まりました。イラクのことを、核兵器はじめ化学・細菌兵器などの大量破壊兵器により、国際テロを支援する国家の一つと位置づけ、対テロ戦争だとアメリカは主張したのです。

一方、フランス、ドイツ、ロシア、中国など多数の国々が、大量破壊兵器の疑惑解明のための国連による査察の継続を要求しました。

しかしイギリスのブレア政権は、アメリカを積極支持。日本の小泉総理も事態を十分に検討することなく、積極支持を表明しました。

イギリスはこの戦争について、5度に渡って検証を行いました。

5度目の調査期間は7年、2016年に発表されました。報告書は260万語、なんと 12巻にも及びます。

報告書には、ブレア政権がフセイン大統領の脅威を過剰に表現し、準備不足の英軍部隊を戦地に送り出し、戦後の計画はまったく不十分だったと記載されています。その結果、ブレア元首相も記者会見を行い一部謝罪もしました。

一方、日本政府は、2016年の私の質問主意書に対し以下の答弁をしました。

「(イラク戦争に対する)日本政府の判断は、今日振り返っても妥当性を失うものではなく、政府として改めて当該判断について検証を行う考えはない。」

5度も調査を行ったイギリスと十分な調査もせず口を閉ざしたままの日本、この両国のあまりの違いには愕然とするばかりで言葉もありません。

==以上、引用終了==

検証ができない日本のなかで珍しくしっかりと対応したのが、国会事故調の福島第1原発報告です。国会はこの検証を改めて受け止めて、後世への糧にしなければなりません。

【24年12月27日 その6334『逢坂誠二の徒然日記』8031回】
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皆様のコメントを受け付けております。

  1. こんにちは。

    『日本では、何かの事象が発生した際、その問題をしっかりと検証して、
    後世への教訓とすることが極めて少ないと感じています。反省をするとか、
    申し訳ないなどの言葉は踊りますが、事象の分析検証がないのです。』

    この『蛇足』部分、大いに賛同です。誰が何に責任があるのか。
    「責任」を問うとは、このように原因と経緯、それに関わった人、
    そして組織の在り方を明らかとすることなのでしょう。

    「責任」追及とは、決して個人を感情的に糾弾する事ではなく、
    飽くまで筋道を経てて事実関係を明らかとすることです。そして
    「責任」を取るとは、言葉での謝罪で誤魔化すのではなく、公開の
    場で事実関係をつまびらかにし、誤りを認めた上で、その立場を
    速やかに辞することです。辞さない場合は強制的措置を取るべきです。

    感情で叩く事しかしない故に、言葉での上っ面の謝罪しかしない。
    この社会は、どうしようもなく遅れて行きつつあります。

    うらべ
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