徒然日記

10月8日 その3333『逢坂誠二の徒然日記』(5030)

日本を取り巻く様々なことを思うと、
寝ていられない気分になり、
今日も早朝からゴソゴソと起き出して、
資料読みなどをしている。

いくつもの懸念事項があるが、
その一つが昨日も記した原発問題だ。

今日は、もう少し具体的に言及したい。

1)40年廃炉ルールの形骸化

福島事故以降、原子炉規制法を改正し、
原発は40年で廃炉するルールを導入した。

40年を超えるのは「例外中の例外」とした。

ところが、もう既に高浜1、2号機が、
40年ルールの例外となっている。

そして今回、美浜3号機も
40年を超えて運転が認められることになった。

美浜3号機は、この11月末で
40年の運転満了となるものだった。

その美浜の審査に関し原子力規制委員会の田中委員長は、
「時間切れを避けたいということで注力してきた」と述べた。

つまり虚心坦懐に審査したというよりは、
40年を超えた使用を前提にして、
審査を急いだということなのだと推測される。

今回の審査で、
使用済み核燃料を収めるラックの
耐震性について疑義があったという。

しかし、国内で導入実績のない免震型にすることで、
ギリギリ審査が折り合ったという。

審査適合と40年延長が前提となったような審査で、
審査の形骸化に繋がりかねない事態が進む。

2)福島事故費用の増大と国民負担

福島事故費用が爆発的に増える見通しだ。

しかもそのツケが国民に回る可能性が高い。

経産省幹部は、
「だれもが過去に原発による安い電気の恩恵を受けて来た」
などと発言し、広い国民負担は当然であるかのような姿勢だ。

結局、原発の電力は安価にはならないということだ。

具体的には以下のような試算だ。

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損害賠償(東電と他の大手電力の負担予定)

5.4兆円が、8兆円に増大


除染費用(東電株式売却益で負担予定)

2.5兆円が、7兆円に増大
(一方、東電株は株価下落で1兆円減)


廃炉費用(東電準備金2兆円)

2兆円が、数兆円規模になることが見込まれる


中間貯蔵施設(電気料金で負担)

1.1兆円(今のところ変わらずだが将来は不明)

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ざっとこんな有り様だ。

これまで東電に対し政府は、
9兆円の資金手当をしているが、
その返済すら不透明な状態だ。

加えて今回の試算では、
さらに8兆円が不足するという。

中核貯蔵施設も入れると、
これで総額18.1兆円も費用がかかることになる。

これに加えて廃炉費用が
数兆円規模かかると言われている。
(もっと高騰する場合も考えられる。)

これらに関し、電気事業連合会側が、
非公式に政府負担を求めているというのだ。

政府負担とは、すなわち国民負担だ。

これでも政府は、原発にこだわるというのは、
狂気と呼ばずしてなんと言うのだろうか。

3)原発事故に対する有限責任

現在の原子力損害賠償法などによれば、
原発事故が発生した際に、
電力会社がその賠償を無限負担することになっている。
(保険などの補償は現在、1200億円のみ)

しかしこれに対し、
政府は電力会社の有限責任案を検討し始めた。

福島事故の現状を見ると、
万が一の事故費用が莫大なものとなり、
電力会社が費用負担できない
というのが検討の理由だ。

最終的に上限を上回る負担は、
税か電気料金で賄うことが予想されている。

結局は、原子力発電は、
市場の中で自立できない仕組みと言わざるを得ない。

こうした仕組みなのに、
原発電力の価格を他の電力と比較するのが、
そもそもの間違いなのだが、
そうしたことを平気で行なっている政府の見識は
常識を大きく外れている。

4)インドへの原発輸出

11月にインドのモディ首相が来日し、
原子力協定に署名するらしいと報道されている。

これによって何ができるのか。


日本からインドへの原発輸出が可能になる
(政府は、そうはストレートに言わないだろうが)

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インドへの原発輸出は、他国への輸出以上に問題が多い。

インドは、核不拡散防止条約(NPT)に加盟しているない。

NPTは、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の
五カ国だけに核兵器保有を認め、他国には認めない不平等条約だ。

しかしこれ以上、核保有国を増やさないことが人類の利益と考え、
世界の191カ国と地域が、この不平等条約に加入している。

ところがインドは、このNPTに加入せず、
1974年には、独自に再処理生成した
プルトニウムを使った核実験を行なっている。

またインドと隣国パキスタン(核保有国)の関係も悪化し、
9月にもインドパキスタン間で、国境を越えた軍事的諍いがあった。

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このインドに原発輸出することは、
単なる輸出を越えたリスクがある。

一部報道では、日本政府はインドに対し
使用済み核燃料の再処理を認める方針とも言われている。

インドが、再度、核実験をしない保証はない。

インドに原発を輸出することは、
最終的にインドを正式な6番目の
核兵器保有国として認めかねない状況なのだ。

世界唯一の被爆国で、
戦後一貫して核兵器廃絶を訴えてきた日本自らが、
NPT体制を崩壊させようとしている。

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福島の事故収束もままならないのに、
安倍総理は「世界の原子力の平和利用利用に貢献」とか、
「原発事故の教訓を生かして世界に技術を広める」などと言って、
アベノミクスに資するとの判断で原発輸出に積極的だ。

原発ビジネスの商業的利益を優先させて、
核兵器廃絶という、本来、日本が
世界をリードしなければならない大きな目標を放棄する。

これを愚行と言わず、何と言うのだろうか。

日本全体を懸念事項、憂慮すべき事柄が取り巻いている。

しかし国民の幸せと日本の明るい将来のために
絶対に屈してはならない。

前向きに希望をもって進まねばならない。

さあ今日も、確実に前進します。
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              2016.10.8
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