徒然日記
12月30日 その1259『逢坂誠二の徒然日記』
今年も、今日と明日のみとなりました。
本当に色々なことのあった一年でした。
昨年から政権に入り、地域主権改革を推進する役割を担ってきました。
鳩山前総理と原口前総務大臣の力強いリーダーシップ、さらに戦略会議メンバー
の後押し、加えて地域主権戦略室職員の頑張りに支えられて、何とか6月の大綱
閣議決定の目前まで漕ぎ着けました。
ところが地域主権改革にとって極めて大事なその時期に、鳩山総理から菅総理へ
のバトンタッチが行われました。この改革に否定的な雰囲気を持つ方々の中に、
この総理の交代という、わずかな間隙を奇貨として、地を這いながら積み上げて
きた大綱案を後退させようとの雰囲気が見られました。
しかし、何とか踏みとどまって6月22日に閣議決定をすることができました。
この三週間余りの動きについて、マスコミなどからは「大綱の後退」などと批判
を受けました。
この紋切り型のマスコミ評価に対し、私の思いは様々ありました。しかし、私自
身は、徳俵を割ることはしない、絶対に踏みとどまるとの強い決意で臨んだ結
果、何とか核心部分を曲げることなく閣議決定に持ち込むことができました。
しかし本当の困難は、大綱決定後でした。
一括交付金化と出先機関改革の具体的な制度設計にどう持ち込むか、これは相当
に骨の折れる作業であることは、誰の目にも容易に想像がつきます。地域主権室
職員の皆さんも、初めて踏みこむ領域のため、ヤル気はあったとしても、その進
め方には大きな不安が付きまといます。
一括交付金化も出先機関改革も最初から最後のまでの道行きをあまり明確にし過
ぎますと、出来ない理由だけが先行しかねず、物事が進みません。しかし、いつ
までも将来の道行きを漠然とさせていると、計画性の無さを批判されます。こう
したせめぎ合い中、7月、8月と匍匐(ほふく)前進しつつ、制度設計の作業を
進めたのです。
この中で、一括交付金化の雰囲気を変える出来事がありました。
それは菅さん、小沢さんが、ともに代表選挙の政策の中に、この一括交付金化を
盛り込んだのです。お二人の主張は、それぞれ違ったものではありましたが、現
在のひも付き補助金を否定する点では一緒です。この代表選の議論の中で、多少
の誤解もあり困ったこともあったのですが、一括交付金化への認識が広がったこ
とは極めて良かったと思っています。
その後、改造菅内閣の中で、全閣僚が集まって行われる閣僚勉強会が、地域主権
改革に大きな役割りを果たしたと私は認識しています。新しく就任した片山総務
大臣が、この勉強会の場で、一括交付金や出先機関改革について丁寧に説明をし
たことが、地域主権改革に関する内閣全体の理解度の向上に大きく貢献したので
す。
これを切っ掛けとして、閣僚間でのこの問題に対する議論が進み、去る27日に
第10回目となる地域主権戦略会議を迎えたのです。この会議の席上、ひも付き
補助金を一括交付金化した「地域戦略交付金」が5120億円となることを発
表、さらに出先機関改革のアクションプランを決定し、かつ24年の通常国会で
は、義務付け枠付け見直しの条項が通算で2,500余りになることもに言及さ
せて頂いたのです。
昨年の12月以降、地を這うように地道に進めてきた地域主権改革への取り組み
ですが、この12月の会議を終え、いよいよ具体的な行動が加速化する段階に入
ることとなります。
ところが、ここでもまたマスコミからは、あまり評価を受けてはいません。
しかし、各省が協力して、全体で3兆円強しかない自治体向け投資的補助金の中
から5千億円以上も内閣府に一括計上することになったこと、さらに24年度は
その額が1兆円を超えることなどは、この業界の常識を知る方だったら、今回の
地域自主戦略交付金は天地がひっくり返るようなおおごとであると認識するほど
の、コペルニクス的大転換なのです。
もちろんこれで一件落着したわけではありません。現行の法令体系の中で、継続
事業を行いつつ、国の事前関与を廃し、自治体の自由度を高めるわけですから、
今後、さらに目を光らせて取り組まなければならないことは言うまでもありませ
ん。具体的には、国の事前関与を徹底的に排除すること、補助要綱などによる国
からの事業への縛りを排除することなど、少なくとも今後2、3年程度は、継続
して取り組まなければ良い制度にはなりません。
また自治体皆さんにも多少の我慢が必要です。来年度から全てが満足できる制度
とはなりませんので、子どもを慈しみ育てるような気持ちで、この地域自主戦略
交付金を我々とともに成長させてるための努力が求められます。その意味で、地
域主権戦略会議には、地域自主戦略交付金の実施状況をしっかりとモニタリング
する役割りが求められます。
出先機関改革についても、マスコミからは、「後退」や「具体性がない」などの
酷評を受けていますが、この指摘は、実際にこうした仕事をしたことのない、机
上の空論に思われます。
出先機関改革は、生身の職員のあり方や国と自治体間のお金のやり取りが伴う
等、地域自主戦略交付金以上に、乗り越えるべき多様な課題を抱えた改革です。
リモコンのスイッチでテレビ画面が一瞬にして切り替わるように、こうした複雑
な改革が進むはずがありません。
出先機関のような複雑な改革には、丁寧さと納得が不可欠なのです。今回のアク
ションプランでは、改革の方向性を明示し、地域主権戦略会議の下でそれを進め
るという、手立ても書き込んでいます。これは従前のこの種のものにはなかった
ことです。
もちろんこの段階で、大きなプラス評価が得られるとは、私自身考えておりませ
ん。しかし、いわゆる手上げ方式、つまり意のある自治体や地域からの出先機関
改革に対する要望に具体的なアクションを起こすことができるように仕組んでい
ます。前政権下での出先機関会改革は関係省と自治体に委ねるものでしたが、残
念ながら進むことはありませんでした。そこで我々は、その行司役、推進役とし
て、地域主権戦略会議を、より積極的に位置づけることととしたのです。これに
よって、いよいよ来年からは具体的な行動の段階に入ることができるということ
です。
出先機関改革には、原則廃止という勇ましい言葉が付いています。しかし、私個
人の理解では、出先機関問題は、廃止が最終ゴールではありません。国民にとっ
て、経済合理性や地域のあり方も含め総合的に、どんな出先のあり方が望ましい
のかを徹底的に追及し、それを実現することが出先機関改革の真のあり方なので
す。
その意味で、マスコミ論調などは、ちょっと勇まし過ぎて、本来の目的を忘れて
いる感じがします。いずれにしても、来年から出先機関改革も次のステップに入
り、地域主権戦略会議の役割りはますます重要になります。
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この年末年始は、地方行財政や総理大臣補佐官時代の仕事など、この一年を振り
返りつつ、将来が展望できればと思っています。
さあ今日もしっかりと前進します。
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2010・12・30 Seiji
Ohsaka
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