徒然日記

国力とは【25年10月18日 『逢坂誠二の徒然日記』8326回】

午前4時の函館は、空全体に雲が広がっています。横津岳の稜線は確認できます。風も吹き寒さが体に染み込みます。朝の気温は11度位でしょうか。日中も曇りで、17度程度になる見込みです。

1)国力とは
最近、「日本の国力が低下している」との声をよく耳にします。私自身も同じ危機感を持っています。
しかし、改めて考えると「国力」とは何を指すのか、その定義は必ずしも明確ではありません。
手元の大辞林には、「国のもつ軍事力や経済力、および文化程度などを総合した力」とあります。
確かに、国力とは単なる一つの指標ではなく、国家が持つあらゆる力の総合体です。
私は、「国力とは、国が国際社会の中でどれだけの影響力と実行力を持ち、国民一人ひとりの生活をどれだけ豊かに支えられるかを示す力」と捉えたいと思います。

<経済力の低下が象徴する国力の変化>
国力の基礎を成すのは、まず経済力です。
経済力があれば、外交でも防衛でも、教育や科学技術でも、持続的に投資と判断を行うことができます。
日本のGDPはかつて世界第2位を誇りました。
しかしIMFの見通しでは、2025年にはインドに抜かれ、世界第5位となります。
一人あたりGDPでは台湾や韓国にも抜かれ、世界38位です。
1位のルクセンブルクは日本の4倍以上、ドイツは1.7倍に達しています。
さらに、世界全体のGDPに占める日本の割合は、1995年の17.6%から2024年には3.6%へと激減しました。
これは単なる順位の問題ではなく、日本の「相対的な存在感の低下」を意味しています。

<失われたのは経済だけではない>
国力の要素は経済だけではありません。
科学技術力、文化的発信力、国民の活力、社会の信頼構造――こうした見えにくい要素も国力を支えています。
たとえば、科学技術分野では日本の存在感が薄れています。
かつて世界をリードした引用率の高い日本の論文数は減少を続け、現在は世界13位。
上位には中国、アメリカ、イギリス、インド、ドイツなどが並び、イラン、韓国、スペインも日本を上回っています。
かつて技術立国と呼ばれた日本にとって、この順位は重い現実です。
また、若者の所得水準や将来への希望が低下すれば、社会全体の活力も落ち込みます。
国民が夢を描けず、挑戦が報われない社会では、どんなに経済統計を取り繕っても、国力は回復しません。

<「人への投資」こそ真の国力の源泉>
国力とは、最終的には「人の力」に帰着します。
教育、研究、文化、そして現場で働く人々の誇りと希望――それらを支える仕組みこそ、国力を育てる土壌です。
日本の課題は、数字の大小ではなく、「未来を創る人づくり」を軽視してきたことにあります。
経済の停滞や技術の空洞化も、突き詰めれば「人への投資不足」に行き着きます。

<結びに>
国力の低下とは、国民一人ひとりの生活や意欲の低下に他なりません。
だからこそ、真の意味での国力を取り戻すには、経済指標に加えて、教育・科学・文化・福祉といった「人を支える力」を再構築することが必要です。
数字の先にある人の暮らしをどう支えるか――そこにこそ、これからの日本の国力の原点があると、私は考えています。

【25年10月18日 その6629『逢坂誠二の徒然日記』8326回】
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皆様のコメントを受け付けております。

  1. こんにちは。以下、FBへのコメントの転載です。

    「国力」、別けてもその基盤である経済力の低下は、この3、40年間の人への
    貧弱な投資の結果です。そこに目を付けない社会改革、政治は無意味ですね。
    一人当たりのGDPの貧弱さは、その貧弱な人への投資の顕在化したした指標でしょう。
    政治改革もここからですね。そのための「数合わせ」はあってしかるべきです。
    ーーー(引用)ーーーーーーー
     日本のGDPはかつて世界第2位を誇りました。しかしIMFの見通しでは、
    2025年にはインドに抜かれ、世界第5位となります。一人あたりGDPでは台湾や
    韓国にも抜かれ、世界38位です。1位のルクセンブルクは日本の4倍以上、
    ドイツは1.7倍に達しています。
     国力の低下とは、国民一人ひとりの生活や意欲の低下に他なりません。
    だからこそ、真の意味での国力を取り戻すには、経済指標に加えて、
    教育・科学・文化・福祉といった「人を支える力」を再構築することが必要です。
    ーーーーーーーーーーーーーー

  2. 「国力」と同様、「経済力」の定量的な定義も定まっていないと思いますが、
    GDPの順位で測るなら、近年の日本の凋落の主な要因は円安のはずです。
    このGDP順位はドル建てでの比較なのですから。

    通貨価値が半分になってしまったら、たとえ円建てGDPが2倍になっても
    ドル建てGDPは横ばいです。
    成熟国では通常こんなことはあり得ないはずですが、それが
    起きてしまったのがこの10年の日本です。
    ドイツ経済が順調に成長した結果抜かれてしまったのならともかく、
    ドイツは2年連続のマイナス成長で、そのドイツに抜かれた事実が重いのです。

    1人当たりGDPも国別の賃金比較も、一般的にはドル建てです。
    「日本の賃金が欧米諸国、OECD諸国に比べていかに安いか!」
    といった扇動的な言説や報道もありますが、もし日本円が10年前の水準なら
    日本の国際順位は現在もさほど悪くありません。
    国内に外国人観光客が溢れかえることもなく、不満のはけ口を外国人に
    求めるような動きもなかったかもしれません。

    なぜこんなことになってしまったのか。
    何度もコメントさせていただいている通り、直接最大の原因は
    アベノミクスによる日銀の国債引き受け(他国では禁じ手)以外になく、
    ここに科学技術力の低下等々の影響を強調するのはむしろミスリードと思います。
    (もちろん科学技術力や教育の問題は当然考えるべきですが)

    アベノミクスが日本の経済、財政をいかに根本から破壊したか、
    物価高で庶民をいかに苦しめる結果になったかを繰り返し訴え、
    転換の道筋を示すことこそ「責任政党」の役割だと思います。

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