徒然日記
学問の自由と日本学術会議(逢坂誠二の徒然日記)
昨日は、早朝から松前にお邪魔して、町内の漁港の状況や市街地の危険箇所を見て回ったのち桜まつりの開会式に出席。冷たく強い風の吹く中でしたが、いよいよ松前の最高の季節の始まりです。その後、札幌で政治塾の講師。政治家になりたい、政治に興味があるという皆さん参加され、酒も酌み交わして濃密な時間を過ごしました。今日は帰函し、午後には函館市内で会議です。札幌の朝は曇り、気温は9度程度。日中も曇って、14度程度になる見込みです。
1)学問の自由と日本学術会議
昨日、日本学術会議法改正案に反対、そして廃案にすべきと言及したところ、多くの方から賛成とのご意見を頂きました。一方で、そもそも学術会議のことが分からないとか、今回の改正の何が問題なのかとの質問も頂きました。そうした質問に答えるためには、日本学術会議の成り立ちを知る必要があります。
憲法23条には、こう書かれています。
> 「学問の自由は、これを保障する」
これは、研究や教育をする人が、政府などの権力に口出しされずに、自分の興味や方法で真理を追い求め、学び、教え、発表できる自由がある、ということを意味します。私はこの「学問の自由」が、民主的な社会を支えるとても大切な考え方だと思います。
日本学術会議とは何か?
日本学術会議は、1949年にできた、日本の科学者たちを代表する機関です。法律前文には、このように書かれています。
> 「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される」
つまり、学術会議は「戦争のためではなく、平和と人々の幸せのために科学を使おう」と誓った、日本の科学者たちの思いから生まれたのです。
学術会議の成り立ちの意味
第二次世界大戦中、日本の科学や技術研究の一部は、軍事分野でも用いられました。こうした歴史的背景を踏まえ、戦後の日本学術会議は「平和のための科学」を理念に掲げることとなりました。
また、この会議は政府が勝手に作ったものではなく、科学者たち自身の意見を集めてつくられたという点も、とても重要です。学術会議は、国家の「文化的な土台」として科学の大切さを表すシンボルのような存在なのです。
今、何が問題になっているのか?
政府は、学術会議のルールを変えるための新しい法案を国会に出しました。その中で、一番大きな問題は、これまでの「前文(設立の目的や理念)」が削除されたことです。
前文には「科学が文化国家の基礎」「平和のために科学を使う」といった、とても大切な理念が書かれていました。しかし、新しい法案ではそれが消え、「経済社会の健全な発展」という表現に置き換えられました。
一見すると「経済社会の発展」は良いことに見えますが、「何が経済に役立つか」はすぐには分からないこともあります。だからこそ、自由な研究が大切なのです。
学問の自由の例:ニュートンの話
たとえば、17世紀の科学者ニュートンが発見した「万有引力の法則」や「運動の法則」「微分積分」などは、当時はすぐに役に立つものではありませんでした。しかし、今では人工衛星やIT技術など、私たちの生活の基盤になっています。
つまり、「今は役に立たないと思われる研究」が、将来、大きく社会を支える可能性があるのです。そうしたことも含めて研究を自由に続けられるようにするために、「学問の自由」があるのです。
今回の法案で心配なこと
今回の法改正案によって、次のような心配があります。
– 学術が「政府の方針に従う」ものになってしまう(自由な研究がやりにくくなる)
– 「学問の自由」や「科学の独立性」が弱くなってしまう
– 戦後ずっと守ってきた理念や歴史が、途切れてしまう
現行法の前文は、日本が戦争を反省し、平和と文化を大切にする国としてやり直すための、大切なメッセージでした。それをなくしてしまうことは、日本社会が積み重ねてきた「学問の自由」の土台を崩すことにつながりかねません。
科学はすぐに役立つことだけがすべてではありません。文化芸術も同様ですが、未来の社会にとって本当に必要なことはは、自由な探究の中から生まれてきます。
だからこそ、「学問の自由」と「科学の独立性」は守られなければなりません。日本学術会議の成り立ちと理念をしっかりと理解したうえで、今回の法改正案について、一旦立ち止まって(廃案にして)、深く考える必要があると、私は強く思います。
【25年4月20日 その6448『逢坂誠二の徒然日記』8145回】
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