徒然日記
「赤字国債の発行期間」/逢坂誠二 #7551
【23年9月4日 その5854『逢坂誠二の徒然日記』 #7551】 富山、二日目の朝です。気温25度、曇っています。日中は33度、曇り時々晴れの予報です。
1)赤字国債の発行期間 今さならながらですが、財政法に次の規定があります。 「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければな らない」(4条1項本文)
この規定により、国は借金ができないのが原則です。
ところがこの例外として次の規定があります 「公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」(4条1項ただし書)
公共事業費は例外として借金をしても良いのです。その理由は、道路や橋などは、後の世代の皆さんも使います。それを今の世代の負担だけで賄うのはおかしいという、負担の世代間公平の考え方に基づいています。建設国債と呼ばれるものです。
この建設国債は、予算書の総則に発行限度額が記載され、予算の議決が建設国債の国会議決ということになります。
建設国債が初めて発行されたのは1966年で、それ以降、毎年発行されています。
ところが1973年の第1次石油危機などによって税収が落ち込んだこともあり、1975年度だけの立法として、税収不足を補填するための公債を発行することとしたのです。特例公債、いわゆる赤字国債です。単年度限りの特例措置だったこの借金ですが、バブル期の1990年から1993年までの4年間を除き毎年発行されています。
特例公債は、あくまでも毎年法案を国会に提出して審議の上、発行が決められます。この理由として1976年に大平大蔵大臣が次のように答弁しています。
「国会に毎年、毎年御審議を通じて決意を申し上げて、御了解を得ながらまいっていく ことが行政府の正しい姿勢ではないか」
「行政府といたしまして毎年非常につらいこと でございますけれども、しかし、こういう過程を経ることによりましてこの特例債発行下の緊張した財政運営の試練に耐えておる」
「われわれの努力の跡を国会の御提案に明らかに記録として出したい、そして国会もそれを評価していただくというような意味におきまして毎年毎年こういう御審議をいただくことに私は意味があるのではないか」
「毎年毎年こういう特例公債論議というものは真剣な国会の論議を経て、そして緊張し た財政運営に資するということが行政府のあり方として正しいのではないか」
大平蔵相は、単年度立法とすることの意義を強調した答弁をしたのです。当然だと思います。
ところが2012年の特例公債法案(38.3兆円分)は、ねじれ国会のもと野党の反対もあり審議未了で廃案となりました。
歳入予算が38兆円以上も穴が開くことになります。これでは地方交付税など、多くの予算の執行ができず、国民生活が混乱します。
そこで、当時の民主党、自由民主党、公明党の三党間において特例公債法案について次の「三党確認書」が交わされました。
「現行の財政健全化目標を踏まえ、中長期的に持続可能な財政構造を確立することを旨として特例公債発行額の抑制に取り組むことを前提に、安定的な財政運 営を確保する観点から、平成 27年度(2015年度)までの間、特例公債の発行を認めるものとする。」
確かにねじれ国会のもとで、多くの法案が通る見込みがなかったのは事実です。しかし私は、赤字国債の単年度立法主義を否定するこの合意はまずいと感じていました。
大平さんも「行政府といたしまして毎年非常につらいことでございますけれども、この特例債発行下の緊張した財政運営の試練に耐えておる」と述べています。辛いことだが、緊張した試練に耐えるのが、単年度立法の意味です。複数年にすれば、確かに行政府は楽でしょうし、歳入予算の確保は安定するのかもしれませんが、安易な財政運営になる可能性があります。
2015年には、この複数年の期限を迎えました。国会は自公1強体制です。提出法案は、政府与党の意のままに成立させることができる状態です。
しかしこんな中でも、赤字国債の発行期間を2016年度から2020年度とする法案が国会に提出され可決されました。この時の審議で政府は「2020 年度までの5年間としても、財政規律がこの期間に特に緩むということはない」と答弁しました。
2021年の通常国会にも、この期限をさらに延長する法案が提出され可決。現在、赤字国債の発行期限は2021年度から2025年度の5年間となっています。
赤字国債発行期限の延長法は、私は国会権限の放棄だと感じています。
どんなねじれ状態であっても、国民生活を混乱させてないために、予算は絶対に成立させなければならいないという矜持を与党、野党問わず国会議員は持つべきです。
その上で、赤字国債の発行なども含む予算案に関し、緊張感のある審議を行うのが国会の役割です。
2025年度に向けて、与野党で確実な議論をしなければなりません。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。 ===2023.9.4===
ネットによる個人献金はこちらです。 go2senkyo.com/seijika/123556
1)赤字国債の発行期間 今さならながらですが、財政法に次の規定があります。 「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければな らない」(4条1項本文)
この規定により、国は借金ができないのが原則です。
ところがこの例外として次の規定があります 「公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」(4条1項ただし書)
公共事業費は例外として借金をしても良いのです。その理由は、道路や橋などは、後の世代の皆さんも使います。それを今の世代の負担だけで賄うのはおかしいという、負担の世代間公平の考え方に基づいています。建設国債と呼ばれるものです。
この建設国債は、予算書の総則に発行限度額が記載され、予算の議決が建設国債の国会議決ということになります。
建設国債が初めて発行されたのは1966年で、それ以降、毎年発行されています。
ところが1973年の第1次石油危機などによって税収が落ち込んだこともあり、1975年度だけの立法として、税収不足を補填するための公債を発行することとしたのです。特例公債、いわゆる赤字国債です。単年度限りの特例措置だったこの借金ですが、バブル期の1990年から1993年までの4年間を除き毎年発行されています。
特例公債は、あくまでも毎年法案を国会に提出して審議の上、発行が決められます。この理由として1976年に大平大蔵大臣が次のように答弁しています。
「国会に毎年、毎年御審議を通じて決意を申し上げて、御了解を得ながらまいっていく ことが行政府の正しい姿勢ではないか」
「行政府といたしまして毎年非常につらいこと でございますけれども、しかし、こういう過程を経ることによりましてこの特例債発行下の緊張した財政運営の試練に耐えておる」
「われわれの努力の跡を国会の御提案に明らかに記録として出したい、そして国会もそれを評価していただくというような意味におきまして毎年毎年こういう御審議をいただくことに私は意味があるのではないか」
「毎年毎年こういう特例公債論議というものは真剣な国会の論議を経て、そして緊張し た財政運営に資するということが行政府のあり方として正しいのではないか」
大平蔵相は、単年度立法とすることの意義を強調した答弁をしたのです。当然だと思います。
ところが2012年の特例公債法案(38.3兆円分)は、ねじれ国会のもと野党の反対もあり審議未了で廃案となりました。
歳入予算が38兆円以上も穴が開くことになります。これでは地方交付税など、多くの予算の執行ができず、国民生活が混乱します。
そこで、当時の民主党、自由民主党、公明党の三党間において特例公債法案について次の「三党確認書」が交わされました。
「現行の財政健全化目標を踏まえ、中長期的に持続可能な財政構造を確立することを旨として特例公債発行額の抑制に取り組むことを前提に、安定的な財政運 営を確保する観点から、平成 27年度(2015年度)までの間、特例公債の発行を認めるものとする。」
確かにねじれ国会のもとで、多くの法案が通る見込みがなかったのは事実です。しかし私は、赤字国債の単年度立法主義を否定するこの合意はまずいと感じていました。
大平さんも「行政府といたしまして毎年非常につらいことでございますけれども、この特例債発行下の緊張した財政運営の試練に耐えておる」と述べています。辛いことだが、緊張した試練に耐えるのが、単年度立法の意味です。複数年にすれば、確かに行政府は楽でしょうし、歳入予算の確保は安定するのかもしれませんが、安易な財政運営になる可能性があります。
2015年には、この複数年の期限を迎えました。国会は自公1強体制です。提出法案は、政府与党の意のままに成立させることができる状態です。
しかしこんな中でも、赤字国債の発行期間を2016年度から2020年度とする法案が国会に提出され可決されました。この時の審議で政府は「2020 年度までの5年間としても、財政規律がこの期間に特に緩むということはない」と答弁しました。
2021年の通常国会にも、この期限をさらに延長する法案が提出され可決。現在、赤字国債の発行期限は2021年度から2025年度の5年間となっています。
赤字国債発行期限の延長法は、私は国会権限の放棄だと感じています。
どんなねじれ状態であっても、国民生活を混乱させてないために、予算は絶対に成立させなければならいないという矜持を与党、野党問わず国会議員は持つべきです。
その上で、赤字国債の発行なども含む予算案に関し、緊張感のある審議を行うのが国会の役割です。
2025年度に向けて、与野党で確実な議論をしなければなりません。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。 ===2023.9.4===
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