徒然日記
7月31日 その3629『逢坂誠二の徒然日記』(5326 )
ストックホルムの朝、
外を散歩すると寒さを感ずるくらいだ。
昨日は、スウェーデン国会を訪問した。
日曜日のため公式訪問は実現できなかったが、
穏健党のポール・ヨンソン議員の計らいによって、
国会訪問が実現した。
ヨンソン議員の奥様は日本人。
特別のご配慮を頂き、
日曜日も有効に活用することができた。
こんな訪欧調査の最中に、
次のニュースが飛び込んで来た。
1)法科大学院閉鎖
==法科大学院、半数が撤退
廃止15校・募集停止20校==
今日の朝日新聞の衝撃的な見出しだ。
==以下、記事抜粋引用==
法曹人口を大幅に増やす狙いで
国が設立の旗を振り、
ピーク時には74あった法科大学院の半数近くが、
廃止や募集停止になったことがわかった。
2004年のスタート時に参入を広く認めたが、
政府による法曹の需要予測が外れたこともあり、
来春に向けて募集を続けるのは39にとどまる。
全体の志願者は最多だった
04年の7万3千人の1割程度にまで落ち込んでいる。
背景には、政府の法曹需要の読み誤りがある。
政府は02年、経済のグローバル化や
知的財産分野の拡大で
弁護士が足りなくなると見込み、
年間1200人程度だった司法試験合格者を
3千人にする目標を閣議決定。
これを受け、大学は法科大学院を次々に新設。
政府は16年度までに964億円を支援。
だが、法曹需要は増えなかった。
裁判所が受理した事件数は
15年は約353万件で、04年より約4割減。
また、法科大学院修了者の
司法試験合格率を7〜8割と見込んだが、
最近は2割台に低迷。
11年からは、法科大学院に通わなくても
司法試験の受験資格が得られる「予備試験」も開始。
直近の司法試験では合格者の約15%を占めていた。
==以上、抜粋引用終了==
この記事に指摘される現状を
何とか打開しなければならないという強い思いで、
今回の欧州調査を行なっている。
この問題は、これまでも法務委員会で厳しく指摘されてきたが、
制度を発足させてまだ間もないということもあり、
政府の重い腰はなかなか上がらない。
しかし記事にも指摘されるとおり、
法科大学院制度の手直しは必須だ。
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データを並べる。
法科大学院は2011年からの7年間で
35校の法科大学院がつぶれた。
最も多かった時期で74校の法科大学院あったが、
その半分近くが倒産する異常事態だ。
==以下、毎年度の募集停止大学院==
2011年度
姫路獨協大
2012年度
大宮法科大学院大、駿河台大、明治学院大、神戸学院大
2014年度
東北学院大、大阪学院大
2015年度
白鴎大、獨協大、東海大、関東学院大、大東文科大、新潟大、信州大、龍谷大、島根大、広島修道大、香川大、鹿児島大、久留米大
2016年度
国学院大、東洋大、神奈川大、山梨学院大、静岡大、愛知学院大、中京大、京都産業大、熊本大
2017年度
成蹊大、名城大
2018年度
北海学園大、青山学院大、立教大、桐蔭横浜大
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2018年の法科大学院の
志願者数は全体で8,159人、 入学者は1,704人。
2005年の
志願者数は4万1,756人、入学者数5,544人。
2005年と2017年の比較で、
志願者は5分の1、入学者は3分の1。
これは極めて深刻な状況だ。
また司法試験は合格率も深刻だ。
合格率は2006年度の46.3%をピークに年々低下、
2016年の合格率はたったの20.7%。
優秀な学生が集まらなかった学校の司法試験合格率は、
一桁台、もしくはゼロもあり悲惨。
一方、法科大学院に通わず、
「予備試験」を通過した者が
司法試験を受けられる制度がある。
この合格率は61.5%。
つまり優秀な学生は、
法科大学院大学に多額の学費を払わずに
司法試験に挑戦しているのだ。
こんな実態のもとでは、
法科大学院はさらに地盤沈下する。
こんな状態を続けていれば、
将来、日本から優秀な法曹人材がいなくなってしまう。
それは最終的には、国民にとっての悲劇だ。
こうした現状への対応が喫緊の課題となっている。
私も自身も法務委員会に来て、
この実態を知り愕然としている。
獣医学部云々の問題ではないのだ。
今回の欧州調査は
こうした問題意識に基づいている。
今日の午前は、
スウェーデンの検事長、
控訴裁判所の判事から話を伺う。
その後、ドイツの経由で帰国となる。
今日も、確実に前進します。
== 2017.7.31 ==