徒然日記
9月13日 その2213『逢坂誠二の徒然日記』
今日も全国的に、朝の予報では太陽のマー
クが多い。
函館も夏日になる見込みだが、
午後からは天候は下り坂になる見込みだ。
今日は上弦の月だ。
1)福島第一原発視察 その6
正午前:
いよいよ福島第一原発の敷地内の
入退域管理棟に到着した。
====
この施設は、本年の6月30日から
運用が開始された新しいものだ。
放射性物質による作業員の汚染調査や装備の脱着、
線量計の貸し出しなど原発への入退管理を行っている。
事故以来、対応拠点となっていた
Jヴィレッジの機能の多くをこちらに移転した。
延べ床面積は約7600平方メートルと大きい。
原発正門脇にあったPR施設を解体して、
管理棟2棟と化学分析棟1棟を建設した。
事故後は原発周辺の空間放射線量が高かったため、
Jヴィレッジでスクリーニングをしていた。
現在は当時に比べて
最大で千分の1程度まで線量が低下したため、
正門脇での運用が可能となったという。
管理棟では作業員の身元確認、防護服の配布、
線量計の管理などをするほか、
5、6号機側にあった二つの医療室を統合させた
救急医療室も新設された。
化学分析棟には、
構内の井戸から採取した
水などに含まれる放射性物質の核種を調べる研究室が入るという。
====
入退域管理棟に入ると、
まず早速、胸部エックス線検査機器のように
体全体が入るゲートで、まずチェックを受ける。
その後、線量計が配布され、
私は作業服の左胸にそれを入れた。
ポケットない服装の方には、ベストが貸し出された。
青い防護服、帽子、口だけを覆うマスク、
ゴム手袋等が配布され、それを着用する。
外に出る直前に、ビニールの靴カバーを付ける。
構内専用のバスに乗る前に、
その靴カバーを外し、バスに乗車する。
12時18分:
これらの準備をして、やっと免震重要棟に向かう。
以前は、この青い防護服の着用は必要なかったらしいが、
汚染水の漏れ等もあり、免震重要棟までの間も、
防護服を着用することとなったようだ。
その証拠に、
入退域管理棟を出るときの放射線量は、
7μs/hだったが、免震重要棟に近づくにつれて、
線量は10~13、
そして20μs/hとどんどん上がってくる。
汚染が広がっていると言えるだろう。
====
バスが免震重要棟に到着すると、
再度、バスの出口で靴カバーを付けて外に出る。
免震重要棟の入口で、
その靴カバーを外してやっと、
免震重要棟に入ることになる。
バスから免震重要棟の入口までたった数メートルだが、
そこでも靴カバーの着用が必要なのだ。
しかも一度使用したカバーの再利用はしないようだ。
====
12時27分:
相澤副社長から、汚染水などに対するお詫びがあり、
小野所長を中心に、第一原発の現状についての説明がある。
小野所長は、震災当時の吉田所長、
その後任の高橋所長に続き、
事故後の3人目として、この6月に就任している。
こうした史上稀に見る事故現場の責任者として任命される、
その心境はどんなものなのだろうか。
相当な覚悟、決意がなければ、
やり切ることのできない職だと推測する。
任命する上司の側も、
どんな思いで、このポストを任命しているのか、
相当な難しさを伴う人事なのだと思う。
====
小野所長の説明は、原稿を読むこともなく、
壁に貼られた説明図を指さしながら、
実に手際よく、分かり易く行われた。
・
汚染水タンクパトロールの強化
・
サリー、キュリオン、アレバなど、
多核種除去の概要
・
地下水などの全体像
・
汚染水タンク増設の予定
・
4号機使用済核燃料プール定期検査の状況
・
サブドレンからの地下水のくみ上げ
以上などをはじめ、多岐にわたる説明が行われた。
====
私から次の二つの質問を行った。
汚染水貯蔵タンクの耐用年数は?
・
ボルト締めのフランジ型は5年程度。
溶接型はメンテナンスをキチンとすれば永年
原子力発電所敷地内に降る雨水の管理状況は?
・
海への排水溝で、線量をはかっているとの答えがあったが、
敷地全体の雨水をどうコントロールしているか、
あるいは具体的にどんな頻度、方法で
線量を測定しているかについては説明が無かった。
私としては、雨水の管理は、
相当に脇が甘いのではないかとの印象を受けた。
====
説明終了後、免震重要棟を簡単に案内頂き、
緊急時対策本部で働いている皆さんに
激励を行っている。
緊急時対策本部は、2011年3月11日以来、
第一原発事故対応の最前線指揮の
最も厳しい現場となったところだ。
現在も、ここには多くの皆さんが、
厳しい緊張感の中で働いているが、
その皆さんに激励の言葉をかけさせて頂いた。
若い職員の方が多い印象を受けた。
====
いよいよ白の本格的な防護服に着替える。
パンツ以外は、
全て貸与されたものを身につけることになる。
長袖の下着シャツ、股引状の下着、
胸2個、背中2個の保冷剤が入ったベスト、
頭全体を覆うキャップ、
顔全体を覆う密閉タイプの防護マスク、
白の上下一体型のフード付き防護服、
綿の白手袋とゴム手2枚、
綿の靴下2足。
====
以上を、東電職員の皆さんのお手伝いを頂きながら、
順次身につける。
手袋は綿の白手袋の上にゴム手を付ける。
ゴム手の中に、防護服の袖を入れて、
手首の部分を幅広のビニールテープでぐるぐる巻きにして、
袖から外気が入らないよう密封し、
さらにその上に2枚目のゴム手袋を付ける。
靴下も二枚重ねで履く。
防護服の裾は靴下の中に入れる。
====
この姿で、免震重要棟の出入口で、
つま先に鋼鉄製の芯の入った作業用長靴と
ヘルメットを着用して、
屋外へ出る準備は完了だ。
(以下、続く。)
さあ今日も、しっかりと前進します。
=============
2013・9・13 Seiji Ohsaka
=============
マグマグの送信登録・解除はこちらです。
http://www.ohsaka.jp/magazin/