徒然日記
23年4月19日 その5716『逢坂誠二の徒然日記』(7413)
1)再び薬について
昨日の日記で医薬品のことについて書いたところ、もっと詳しく知りたいとのご意見が複数寄せられたため、再度、言及します。
今、日本では多くの薬が品薄状態になっています。その理由の一つが、2021年の複数の医薬品製造メーカーによる不正です。これによって2021年だけで、多分8社だったと思いますが業務停止命令などが出されました。そのため廃業した会社もありますし、法令に基づいた薬製造を行うために、製造ラインを取り替えたりする工場もあります。そのため製造現場では今も必要な薬の製造が追いつかず品薄になっているのです。工場の改修などは簡単にできるものではありませんので、この状態は、もう少し続きます。
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また医薬品産業では、近年の毎年薬価改定などによって、利益が圧迫され研究開発への投資が減少する傾向にあるといいます。医薬品の開発には多大な費用がかかります。また最近は、薬事審査の難易度も高まっています。そこで製薬企業では、創薬などに経営資源を集中するため、医薬品の製造をCMOに外注するケースが増えているのです。
日本では2005年の薬事法改正で、医薬品製造の全面外注化が可能になりました。
CMOはContract Manufacturing Organizationの略です。製薬会社などから、医薬品の製造を受託・代行する企業のことです。日本語では「医薬品製造受託機関」と説明されています。
医薬品の製造はCMOに委託するのが世界的なトレンドとなっており、CMOは医薬品の安定供給と製造技術の維持を担う重要な役割を担っているのです。
以下はある糖尿病血糖改善薬(薬価10.8円/ 錠)のCMO事業者のケースです。この薬の受託価格は3.20円/錠で、その内訳は、以下とのことです。
原材料(1.86円)
試験費( 0.31円)
投資建物燃料(0.44円)
人件費(0.48円)
利益(0.11円)
この現状の中で、原材料、資材、エネルギー価格が上昇したのです。現在、薬価が抑制される傾向にありますから、受託価格を上げる交渉は厳しいのが現実です。そうなれば当然、赤字になります。
薬製造事業者の不正、あまりにも脆弱な収益構造、この二つによって、薬が品薄状態になっています。
この脆弱な収益構造のままでは、薬の製造がキチンと回復するのかどうか予断を許さない情勢です。昨日も書いた通り何が問題なのかを粘り強く精査して参ります。
さあ今日も ブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2023.4.19===
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