徒然日記

22年10月30日 その5545『逢坂誠二の徒然日記』(7242)

昨日は、函館、北斗、七飯を回っています。

今日、都内で私用のため、昨夕、上京しました。

都内の朝の気温は10度。

空に薄い雲が広がっていますが、東と天頂にはパラパラと星も見えます。

日中は19 度、晴れの予報です。

昨夕、月齢4日の月を見ながらの移動でしたが、秋の夕空は趣があります。

1)国葬とマスコミ

安倍元総理の国葬について、
どのような経過で決定したのかなどの詳細は、
未だに何も分かっておりません。

岸田総理は、今後、国葬のあり方を検討する旨の発言もしましたが、
それが具体的にどのように進むのかも、今の段階では全く不明です。

この国葬に対し国民の支持が少ないことなど、
マスコミは批判的に報じた社が多かったように思います。

ところが各社の社長などが国葬に招待されると、多くのトップが参列しました。

参列したのは、読売新聞、産経新聞、日経新聞、毎日新聞、共同通信、時事通信、
NHK、フジテレビ、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京の経営トップです。

大手で欠席したのは、朝日新聞、東京新聞だと言います。

この現実について、国葬を取材していた記者からは、
自分たちの報道内容とトップの対応に乖離があり、戸惑いがあるようです。

こんな中、共同通信政治部の記者が、国葬に出席した社長を実名で批判するメールを
政治部記者全員が参加するメーリングリストに流すという事案が発生しました。

タイトルは、「共同通信社社長の国葬対応に関する私の所感」です。

==以下、抜粋引用==

見て見ぬふりはできない 社長国葬参列に反対 臨時国会召集日に考える

報道各社の世論調査では、国葬「反対」が軒並み多数を占めた。
国民の良識が、結果に反映されたと言える。

それにもかかわらず、岸田首相は醜悪な「国葬」を強行した。

そして水谷社長は参列した。

共同通信社は当日の9月27日、参列の理由に関し、
「故人に弔意を示すために社を代表して社長が参列することにした」とコメントした。

共同通信社で働く役員、社員、スタッフを代表し、参列したとの趣旨だと受け取れる。

国葬問題追及記事を量産し、
ジャーナリズムの責任を果たしているかのようなそぶりを見せる私たち共同通信は、
実際にはその国葬を支え、岸田政権を力強く後押しする役割を果たしているのだ。

憲法に背き、民主主義を踏みにじる「国葬」という名の汚れたみこしを、私たちは今も、担ぎ続けている。

この不都合な現実を、私たちは意識する必要がある。

社長の参列に関する理由説明の中で、共同通信社は「国葬の是非を巡る報道とは別にして…」と前置きしている。

社長にとって、国葬追及報道は他人事なのだろうか。

政権幹部から「国葬で弔意を示した会社の社員が、何を偉そうに批判めいた記事を書いているのか」と突っ込まれた時、現場の記者はどう答えたらいいのだろうか。

間違いなく言えるのは、胸を張って取材、出稿に取り組める環境が損なわれつつあるということだ。

政治報道に携わる皆さんに対し、私が社長国葬参列への反対と抗議の意思表示をしたのは
「黙っていることは、国葬を追認することにほかならない」と感じたためだ。

同じような思いを抱き、動揺している仲間が必ずいるという確信に基づき
「怒り、失望を覚えている社員は、決してあなただけではない」
というメッセージを、特に若手の皆さんに届けたいという思いもある。

==以上、引用終了==

この出来事を知って、何とも複雑な気持ちです。

日本のマスコミトップの多くは、自社の報道に矜持がないということだと思います。

記者たちは、必死になって取材し議論し、内容を組み立てて発信しています。

そのことをトップの皆さんが重く受け止めていないという事実を知り、
こんなものなのかという諦めの気持ちになります。

インターネットの進展によって、ニュース的なものの発表場所は無限に増えています。

一方で、キチンと取材して発信する記者の数は増えているわけではありません。

しっかりと取材して発信をすることは、
大手、中小、個人を問わず記者個々人の力量に左右されます。

記者が帰属する組織の大小や個人であるか否かは、
記事の内容に本来、関係ないことなのかもしれません。

一方で、ニュースは、即時性の求められるものや、
多様な情報源を複数で取材しなければ得られない事実もあります。

個人の記者の存在を否定的に捉えるつもりはありませんが、
一定の給料を受け取り、身分が安定した大手の記者集団の存在は貴重です。

コロナ禍、ウクライナ戦争、G7と違う日本経済の現実など、
私たちの社会は、従来にない新たな局面を迎えています。

この時期、民意がどう動くのか、政治がどう機能するのか、その判断を誤ると、
国民が一気に奈落の底に落とされることだってあり得ます。

こんな時だからこそ報道の役割が以前にも増して重要です。

そんな局面にも関わらず、大手マスコミトップのこの体たらくを知り、本当に危機感を強めています。

今回の共同通信記者の行動は誰もができるものではありません。

勇気ある行動を心から讃えたいと思います。

しかしこの行動を共同通信内部だけのものにしてはなりません。

他社が共同のこの記者の行いを報道しつつ自社のあり方を振り返る、
そんな取り組みがあって初めて、誰にも真似のできないこの記者の行動が生きてくるのだと思います。

そんな気概のある社はないのでしょうか。

さあ今日もブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2022.10.30===

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皆様のコメントを受け付けております。

  1. こんにちは。

    共同通信記者の抗議文は至って全うです。幹部の腐敗ぶりが明瞭に記されています。
    新聞社に関らず、幹部になるには若いころから如才なく立ち回らなければならないのが、
    勤め人のサガですが、権力者との距離がどれだけ近いかが明暗を分けるようですね。
    政治部はその典型。

    小職の亡くなった知人に、元共同通信記者がいましたが、長く社会部の記者を務め、
    支店長を歴任し、最後は「暇な整理部」へ飛ばされ、定年の1年前に帰郷した来た人です。
    或る時、まちづくり活動での際、市を厳しく断罪する(断罪ではあるものの、同時に
    建設的発言です)発言をしましたら、「まぁまぁ、君の将来のためにそういうことは
    言わない方が良い」と窘める口調。彼も苦労してきたんだろうな、と思いました。
    と同時に、新聞社もやはりそうなのかと、がっかりしたことがあります。

    閉塞感が漂いますね。

    うらべ
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