徒然日記
22年4月4日 その5337『逢坂誠二の徒然日記』(7034)
都内は一転して雨の朝です。
朝の気温は7度。
日中も10度程度と函館よりも低い見込みです。
1)過去に目を閉ざす
昨日、ドイツのヴァイツゼッカー元大統領の85年演説の有名な一節を紹介しました。
「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。」
この言葉を受けて、私たちの国はどうなのかを常に考えています。
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イラク戦争は、2003年3月、米軍のバクダートへの奇襲攻撃で始まりました。
イラクの武装解除とフセイン政権打倒が目的の武力行使です。
イギリスを除くほとんどのヨーロッパや中東の諸国、ロシア、中国など
多くの国が戦争反対の立場をとったのですが、ブッシュ政権は戦争を強行しました。
イラクのことを、核兵器はじめ化学・細菌兵器などの大量破壊兵器(WMD)により、
国際テロを支援する国家の一つと位置づけ、対テロ戦争だとアメリカは主張しました。
一方、フランス、ドイツ、ロシア、中国など多数の国々が、
WMDの疑惑解明のための国連による査察の継続を要求しました。
しかしイギリスのブレア政権は、アメリカを積極支持。
日本の小泉総理も事態を十分に検討することなく、積極支持を表明しました。
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イギリスはこのイラク戦争参戦とその後の経緯を調べる独立調査委員会
(通称:チルコット委員会)を立ち上げ、2016年に調査結果を発表しました。
実はイギリスでは、これ以前にも 4度、調査が行われています。
チルコット委員会は、開戦前後の政治判断について吟味し、
そこから教訓を学ぶために設置されたと言われています。
調査期間は7年、報告書は260万語、なんと 12巻にも及びます。
報告書には、ブレア政権がフセイン大統領の脅威を過剰に表現し、
準備不足の英軍部隊を戦地に送り出し、
戦後の計画はまったく不十分だったと記載されております。
報告書詳細の紹介は避けますが、
イラク戦争に関しイギリスは5度も調査し、
ブレア元首相も記者会見を行い一部謝罪もしています。
一方、日本政府は、2016年の私の質問主意書に対し以下の答弁をしました。
「(イラク戦争に対する)日本政府の判断は、今日振り返っても妥当性を失うものではなく、政府として改めて当該判断について検証を行う考えはない。」
5度も調査を行ったイギリスと十分な調査もせず口を閉ざしたままの日本、
この両国のあまりの違いには愕然とするばかりで言葉もありません。
イラク戦争だけに限りません。
福島第1原発事故に関しては、
国会にそれを専門に議論する場すら設けられずに11年が経過しました。
第2次世界大戦に関しても同様です。
第2次世界大戦参戦に至る経過から1945年9月2日の降伏文書調印まで、
この間のことについて政府としての確実な分析、
報告なされたとは言い難いのが日本の今だと私は思います。
現在の日本の大きな起点となった第2次世界大戦に目を閉ざしていること、
これが戦後日本の多くのことに影響を及ぼしていると私は思います。
過去にキチンを向き合おうとすると自虐的などと罵る方がおりますが、
着実に将来に立ち向かうために過去に目を閉ざしてはならないのです。
ヴァイツゼッカー氏の指摘、
「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります」、
これはまさに我が国の戦後に思えてなりません。
さあ今日もブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2022.4.4===
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