徒然日記
18年1月12日 その3794『逢坂誠二 の徒然日記』(5491)
昨日は、札幌市内で会合があっため、
東京・札幌日帰りの対応となった。
帰宅は23時頃で、さすがに眠い。
夜明け前、都内の気温は氷点下2度だ。
1)原発ゼロ法案前文
原発ゼロ基本法案の立案に向け、
鋭意作業中だ。
法案には前文を設ける予定だが、
前文は全くの白紙状態から立案状況を公開し、
多くの皆さんのご意見を伺いながら作業中だ。
以下は、それらご意見も踏まえた、
現在の前文素案の状況だ。
多くの意見を盛り込んでいるため
前文としては長すぎるし、
具体的過ぎるところもあり、
記載の順序も適切ではない生煮えのものだが、
これを原型にして、今後も公開しつつ、
さらに議論を重ねたいと思う。
==原発ゼロ法案前文素案2018年1月12日版==
1965年(昭和40年)5月、日本最初の商用原子力発電所、東海原子力発電所が臨界に達し、原子力爆弾による世界唯一の戦争被爆国「日本」が、原子力の平和利用という名目で、原子力発電を開始した。
原子力発電は、発電コストが安価である、二酸化炭素を発生させない、核燃料サイクルの完成により純国産のエネルギーを無限に調達できる、原発が立地する地域には雇用が生まれ活性化となるなど、夢のエネルギーとして国をあげて推進してきた。
一方、放射線による人体や環境への悪影響、使用済み核燃料などの処理方法が未確立であることなどから、多くの不安、反対の声もあった。
しかし原発推進のため国は、潤沢な交付金を立地地域などに支出し、原発立地が地域振興に直結するかのように思い込ませ、金に糸目を付けずに力づくで原発を推進し、原発立地地域等の経済は原発に大きく依存することになった。
このことが、原発の必要性、安全性について、国民が広く真摯に議論する機会を奪ってしまった。
この間、スリーマイル島やチェルノブイリでの重大な原発事故が発生した。しかし、日本では同様の事故は発生しないとの根拠不明確な「安全神話」が強調され、十分な避難計画も賠償体制も確立することなく稼働を続けた。
一方で日本においても、作業員が被ばく死するという東海村JCO臨界事故が発生したにもかかわらず、日本の原子力のあり方を見直す大きな要因とはならなかった。
地震多発・多火山国である日本では、原子力発電所の「100%安全」稼働は本質的に不可能であること、大津波によって原発が危機的な状況に陥るなどことなど、日本の原発危険性については国の内外から具体的に幾度も指摘された。
しかしそれら警鐘も十分に考慮されることがなかった。
これは、地球科学的な見地から「世界に類例のない日本列島の成り立ち」を正しく理解する事を放棄してきたことを意味する。
その結果、2011年3月11日、東日本大震災が発生し、私たちは、世界の耳目を集める原子力発電所の水素爆発・炉心溶融事故を経験した。
それから7年もの歳月が経過したにもかかわらず、その爪痕はいまだ痕跡となることもなく、現在進行形のままであり、日本社会全体に大きな影を落としている。
この原発事故により現在もなお、多くの人々が愛する故地を失って避難生活をせざるを得ない状況に追いやられ、多くの人々が苦しんでいる。
2018年の今も、事故発生直後に出された内閣総理大臣による「原子力非常事態宣言」は継続中である。
原子力発電所で重大事故が発生すれば、国民の生命および生活に回復不可能な影響を与えると同時に、広範な放射能汚染等の容易に除去することの出来ない被害をもたらし国土を毀損するものである。
原発事故は、人のみならず家畜や愛玩動物、そして野生動物はもちろんのこと生態系にも計り知れない悪影響を及ぼす。我々の行いはそれら生態系に対しても責任あるものでなければならない。
福島第一原発事故を起こした電力会社は、当初から都合の悪い事実を隠蔽し虚偽を流布するなどして、政府に住民避難の判断に必要な情報すら提示しない、公共の利益に反する、不誠実で反社会的体質であることも明らかとなった。(特定の企業を名指すること、反社会的と断ずることの是非について指摘があった。)
原子力発電はいくつもの根源的な難題を抱えている。
万が一の事故の放射線被害は、一人の個人の体を蝕むだけではなく、遺伝によって世代を超えて人類に悪影響を及ぼし、人類という種の存在にも悪影響を与えるものであること。
地震・噴火などの人類には予測や制御し難い自然災害に遭遇すれば、防ぐことのできない大事故に直結する可能性がきわめて高い。つまり原子力は、技術では乗り越えられない問題を抱えている。
使用済み核燃料の処理をはじめ、何万年にもわたって子孫に廃棄物の管理を押し付け、危険な物質で国土を覆うという倫理の問題。
廃棄物管理の場所確保のために、狭い国土に人の住むことのできない広大な土地を存在させるという国土保全の問題。
ウラン鉱石、廃棄物を含めた原子力の資源・エネルギー管理の論理は、社会の自由と多様性ではなく、真逆の制約と統制の論理によらねばならないという社会のあり方の問題。
近年の再生可能エネルギーの普及などを見ると、原子力発電は発電単価が高く経済性にも劣る発電システムであるという経済性の問題。
原子力は人類が制御できないエネルギーであると思わざるを得ない。
原子力発電や原子力の利用について、過去にも様々な指摘があったが、その指摘を冷静に受け止めることもなく、漫然と利用し続けたことを私たちは真摯に反省しなければならない。
そして福島第一原発事故によって、原子力に関する過去の指摘が正鵠を射たものであることを痛感した私たちは、この原子力利用の持つ解決できない課題を少しでもここで断ち切って、将来への責任ある行動をとらねばならない。
政府、立地自治体が安全神話のもと推進してきた原子力政策は、短期的には周辺自治体に雇用を生み出し、重要産業として受け入れられた側面もあった。しかしその方向性は福島第一原発事故により多くの県民の生活を乱し、幸福を毀損する結果となった。
あの重大事故を経験した私たちが決断すべきは、原発利用を中止し、一日も早く廃炉への方向転換を決めることである。
すべての原発における再稼働の中止、廃炉へ向けた工程表の作成が求められている。
そして、多くの困難が予測される廃炉技術は人類の英知を結集して実践的に確立されなくてはならない。
「原発が止まれば停電となる」などの文句は、すでに原発稼働ゼロを1年以上経験し、 LEDの普及や省電力化などにより、消費電力総量が減少している事実により完全に否定されている。
また、昨今の再生可能エネルギーの進化は目覚ましい。再生可能エネルギーは、地産地消型のエネルギーであり、世界のエネルギーの争奪合戦から脱却できる大きな希望となるものだ。
省エネ技術と、地産地消型の再生可能エネルギー社会の構築を推進することが、それぞれの地域に富と人間らしい暮らしをもたらす可能性を高めることになる。
温室効果ガス対策については、地球温暖化対策推進法にもとづく地球温暖化対策計画の見直しにより達成を図ります。
東電福島第一原発事故の重大な経験から、私たちはこの世界からすべての原発が除去され、既存の原発が廃炉へ向かう必要があると考える。
電力エネルギー整備に努める国々には、原子力に頼らずに再生可能エネルギーの活用ができるよう援助と協力を惜しまない。
この世界で二度と原発事故を発生させてはならない。
私たちが直面した、過酷な原発事故の教訓を世界に伝え、原発に頼らない社会作りへ進むように尽力する。
東電福島第一原発事故を発生させた「同時代人」として、この責任を、次世代のみならず、世界の人びとにも負っている。
私たちはこうしたこれまでの原子力政策のありかたを反省し、将来世代への責任を果たすために、電力事業者や関係事業で働く皆さん、立地自治体などのあり方と電電力の供給に配慮しつつ、原子力発電に依存しない再生可能エネルギーを基本とする社会への転換を決意し、この法律を制定する。
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(論点の追加を提案あり)
・2011年に発生した東日本大震災と東京電力福島第1原発事故により、これまでの社会システムが抱えている矛盾が顕在化することになる。原子力発電事業にあっては「安全神話」に象徴されるように、経済至上主義のもと多くのリスクや問題が覆い隠されてきた。
・世界で進む再生可能エネルギーの利用拡大は、大手電力会社による独占的発電事業を、自治体や地域住民主導の分散ネットワーク型発電事業へと変化させ、地域循環型の経済を生み出し、地域の自立と活性化に繋がっている。
・人為的な温室効果ガスの排出により気候変動は悪化し、世界各地で集中豪雨や洪水、熱波・山火事といった異常気象が起こり様々な被害をもたらしている。 2015年12月に地球の平均気温を1.5~2℃ 未満に抑えることを目標としたパリ協定が採択され、2016年11月4日に発効した。今世紀後半には温室効果ガスの排出をゼロとすることが求められ世界が脱炭素社会への舵を切っている。
・原発ゼロ、省エネ・再エネへのシフト、脱炭素社会の実現は新しい環境調和・分権型社会システムの創造、新たな経済発展の契機である。
原発の廃炉は未来への投資である。
廃炉技術を発展させ、人材を育て、ロボット等の研究・実用化を進め、新たな廃炉への道筋を作っていく。原発事故を経験した私たちが国をあげて廃炉に取り組み、世界に示すことで、廃炉先進国としてリーダーシップをとっていきたい。
==以上、前文素案2018年1月12日版==
今後、これをもとにさらに
議論を重ねることとしたい。
今日は国会で仕事の後、最終便で帰函する。
さあ今日もブレずに曲げずに、
確実に前進します。
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2018.1.12
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皆様のコメントを受け付けております。
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原発ゼロ法案が通ったら日本も変わると思います。もちろん開かれた未来に!
衆議院議員逢坂誠二様
7年前に、前札幌上田市長と脱原発全国首長会議のメンバーに入りましたが、北電と関連工事会社等による巧妙かつなりふり構わない選挙妨害運動も受け、不覚にも、撃沈し、二年後には、大病を患い、私なりのささやかな脱原発運動は、果たし得なかった過去の幻に帰しておりました。
しかし、この度、御党の手(逢坂議員)によって、原発ゼロ法案が提案されることを知り、前文を拝見したしだいですが、これまでの経過を俯瞰しつつ、サスティナブルな社会へ道を拓く覚悟、リテラシーが感じられる、素晴らしい内容と思います。
今後、精査されていくと思いまずが、お身体には、十分留意され、歴史に残る重責を全うされますよう、御祈念申し上げます。
拝 若見