徒然日記

少年北海丸に乗船して 【26年10月27日 『逢坂誠二の徒然日記』8698回】

福田康夫元総理の訃報に接し、深い悲しみを感じています。
2008年、福田さんが総理在任中、まだ当選1回だった私に直接連絡をくださいました。
福田さんの事務所を訪ねると、「公文書管理法をつくりたい。協力してほしい」とのお話でした。
その思いに応え、私も法制定に向けた作業に携わりました。
最後にお会いしたのは昨年、新しい国立公文書館の起工式でした。その際も、公文書管理法についてお話ししたことが、今も心に残っています。
公文書を大切にする福田さんの強い思いを受け継ぎ、日本の公文書管理がまっとうなものとなるよう、私もさらに力を尽くしてまいります。
心からご冥福をお祈りいたします。

1)少年北海丸に乗船して
昨日26日、函館少年刑務所の職業訓練船「少年北海丸」に乗船し、訓練の様子を視察しました。

最初に函館少年刑務所で、門脇壽和所長らから、刑務所の歴史や現在抱えている課題、少年北海丸の現状、職業訓練の内容などについて説明を受けました。
その後、門脇所長とともに少年北海丸に乗船し、離岸・着岸訓練や函館港内での航行訓練を拝見しました。

船長は菅野義三さんです。
菅野船長ご自身が先頭に立って操船し、訓練生の皆さんがそれぞれの役割を担いながら、実際の船を動かしていました。

==実船訓練の緊張感==

今回、あらためて強く感じたのは、実際の船を使って訓練することの重要性です。

船舶の運航は、わずかな判断の誤りが重大な事故につながることもあります。
離岸・着岸も、単に船を動かせばよいというものではありません。船長の指示を理解し、一人ひとりが自らの役割を果たし、互いに協力しなければ、安全な運航はできません。

実際の船だからこその緊張感があります。
机上の学習だけでは身につけることのできない責任感や判断力、そして実践的な技術が、こうした訓練の中で養われていることを実感しました。

==自前の訓練船だからこそ==

少年北海丸の廃止が検討された際、代替策として船を借りる「傭船」という方法も議論されました。
しかし、今回の訓練を拝見して、自前の船を保有することの意義を、あらためて強く感じました。

少年北海丸では、菅野船長をはじめとする乗組員の皆さんが、訓練生一人ひとりの状況を把握しながら、継続的に実践的な指導を行っています。
単に船に乗るだけではありません。
自らの役割を理解し、状況に応じた訓練を繰り返し、船を安全に動かすために必要な技術と責任感を身につけていくのです。

こうした訓練を、傭船によって同じように実施することは容易ではないと思います。
船を借りれば、同じ訓練ができるという単純な話ではありません。
自前の訓練船を持つことには、大きな意味があります。

==訓練生の皆さんの声==

今回、訓練生の皆さんから直接お話を伺う機会もありました。
私にとって、大変貴重な時間でした。
少年北海丸での訓練は、船舶の運航技術を身につけるだけではありません。
規律を守ること。
仲間を信頼すること。
自らの行動に責任を持つこと。
こうした経験を積み重ねることが、社会復帰に向けた自信と希望につながるのだと思います。

訓練生からは、次のような趣旨のお話がありました。
「出所後、どう生きるべきか不安だったが、この訓練を受けて先が見えてきた」
「遠方から面会に来た身内が安心した姿を見て、自分も自信になった」
こうした訓練生の思いが、強く心に残っています。

出所後の生活に不安を抱える中で、技術を身につけ、少しずつ自信を取り戻していく。
そして、その変化を家族も感じ、安心する。

少年北海丸の訓練は、単に仕事に必要な技術を教えるだけではなく、人がもう一度、自分の人生を歩み出すための支えにもなっているのだと思います。
受刑者の更生と社会復帰を支えるという点でも、少年北海丸の役割は極めて大きいと感じました。

==廃止撤回は大きな前進、しかし課題も==

私は昨年来、少年北海丸の廃止方針に強い疑問を持ち、法務省に対しても、その存続を求めて働きかけてきました。

今年9月、廃止方針が撤回されたことは、大きな前進です。
しかし、これですべてが解決したわけではありません。

船舶検査に必要な経費は、来年度予算での措置となる見込みです。
そのため、来年の訓練に影響が出ることが懸念されています。
また、船舶の維持管理や、今後の訓練を安定的に継続するための体制づくりなど、課題は残されています。
廃止方針が撤回されたことだけで安心するわけにはいきません。
訓練を継続できる環境を、確実に整えることが必要です。

==未来につながる職業訓練==

少年北海丸は、単なる一隻の船ではありません。
受刑者が技術を身につけ、責任感を養い、社会復帰への道を切り開くための、大切な学びの場です。
今回、実際に乗船し、訓練の様子を拝見したことで、その価値をこれまで以上に強く確信しました。

船を維持するためには、当然、費用がかかります。
しかし、その費用だけを見て、この訓練の価値を判断することはできません。
社会復帰を果たし、再び仕事に就き、自立した生活を送ることができるようになる。
そのことの意味は、本人にとっても、家族にとっても、そして社会全体にとっても、極めて大きいものがあります。

少年北海丸で積み重ねられてきた、社会復帰につながる実践的な職業訓練を守り、発展させることが大切です。
そのためにも、少年北海丸の訓練が途切れることなく続けられるよう、私も引き続き力を尽くしてまいります。

今回の視察にご協力いただいた門脇所長、菅野船長をはじめ、函館少年刑務所と少年北海丸の関係者の皆さんに、心から感謝申し上げます。

さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年10月27日 その7001『逢坂誠二の徒然日記』8698回】

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