徒然日記

人口減少社会の勝ち筋 【26年10月26日 『逢坂誠二の徒然日記』8697回】

午前4時。西の空には、淡い雲の向こうから白い光を放つ月が浮かんでいます。薄雲を透かして届く月明かりが、夜明け前の空を静かに照らしています。
気温は8度程度。時折、風が吹き、肌に寒さを感じます。秋が深まり、冬が近づいていることを実感する朝です。
今夜は満月。澄んだ秋の夜空に、どんな月が見えるでしょうか。

1)人口減少社会の勝ち筋
25日、函館で私の16回目となる政経セミナーを開催しました。
講師には、人口減少対策総合研究所理事長の河合雅司さんをお迎えし、「人口減少社会の勝ち筋戦略」と題してご講演いただきました。

河合さんは、『未来の年表』『縮んで勝つ』などの著書を通じて、日本の人口減少が社会や経済に与える影響について、警鐘を鳴らし続けています。

今回の講演でも、さまざまなデータを示しながら、人口減少社会にどう向き合うべきか、具体的な問題提起をいただきました。

==想像を超える人口減少==
日本の人口減少は、私たちが考えている以上の速度で進んでいます。
河合さんの資料によれば、日本人の人口は、一定の厳しい推計条件のもとでは、2020年から2120年までの100年間で約8割減少するとされています。
特に深刻なのは、働く世代の減少です。20歳から64歳の日本人人口は、2020年から2040年までの20年間で約1,400万人減少するとの推計が示されました。

2020年に約522万人だった北海道の人口は、2050年には約382万人になると推計されています。
函館市はさらに厳しい状況です。2020年に約25万人だった人口が、2070年には約9万8千人になるとの見通しです。

もちろん、これらは一定の条件に基づく将来推計であり、必ずその通りになるというものではありません。
しかし、人口減少が地域社会のあり方を大きく変えることは、避けて通れない現実です。

==人口減少は二重の問題をもたらす==
河合さんが指摘する重要な問題の一つが、「人手不足」と「消費者不足」です。

人口が減れば、働く人が減ります。
医療、介護、建設、運輸、農林水産業など、さまざまな分野で人材の確保が難しくなります。
一方で、人口減少は消費者の減少も意味します。
商品を買う人、サービスを利用する人が減れば、地域の商店や企業の経営も厳しくなります。
人手が足りない。しかも、お客さんも減っていく。
この二つの問題が時間差で進むことによって、地域経済や住民生活に大きな影響が及びます。
これまでのように、人口が増え、消費が拡大することを前提とした社会の仕組みを、そのまま維持することは難しくなります。

==戦略的縮小という考え方==
河合さんが提唱するのが「戦略的縮小」です。
人口減少を単なる衰退と捉えるのではなく、人口が減ることを前提として、社会や経済の仕組みを組み直していくという考え方です。

例えば企業経営では、売上高の拡大だけを追い求めるのではなく、従業員一人当たりの利益を高めることを重視します。
高付加価値化や生産性の向上などによって、少ない人数でも利益を確保できる経営へと転換するのです。

地域づくりについても、河合さんは、街のコンパクト化、ネットワークによる商圏の維持、雇用を創出する企業の立地という三つの柱を示しています。

人口が減っても、暮らしに必要な機能を維持し、地域の経済活動を続けていく。
そのためには、従来の発想を大きく転換する必要があるということです。

==何を縮小し、何を守るのか==
河合さんのお話を伺いながら、私は、自治体のあり方について、改めて考えました。

私は自治体の職員、町長として、長年、地域づくりに携わってきました。
その経験から強く感じるのは、人口や財政の規模だけで、地域の豊かさを測ることはできないということです。

人口が少なくても、住民が安心して暮らし、地域に誇りを持ち、自分たちの未来に希望を抱けることは大切です。
一方で、人口が減少する中、すべての公共施設や行政サービスを、これまでと全く同じ形で維持することが難しくなるのも事実です。

だからこそ、何を縮小し、何を守り、何を新たに育てるのか。
この判断が重要になります。
その際に忘れてはならないのが、住民の意思です。
行政の効率だけを優先し、住民の暮らしを置き去りにすることがあってはなりません。
地域の未来は、そこに暮らす皆さんとともに考え、決めていく必要があります。

今回の河合さんの講演は、これまでの地域政策を見つめ直し、これからの北海道、函館・道南のあり方を考える貴重な機会となりました。
河合雅司さん、そしてセミナーにご参加いただいた皆さんに、心から感謝申し上げます。

さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年10月26日 その7000『逢坂誠二の徒然日記』8697回】

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