徒然日記
ふるさと住民登録制度への違和感 【26年10月25日 『逢坂誠二の徒然日記』8696回】
午前4時に目覚めたときは、まだ真っ暗。夏至の頃なら、午前4時にはもう空が明るくなり始めていますから、季節の移ろいを強く感じます。
午前4時から活動を始めると、日の出まで2時間もあります。
静かな暗闇の中で一日を始める。そんな時間にも、この季節ならではの趣があります。
1)ふるさと住民登録制度への違和感
ふるさと住民登録制度は、現在住んでいる地域とは別に、出身地や思い入れのある自治体に「ふるさと住民」として登録し、地域と継続的につながる仕組みです。
総務省が2027年春の開始を目指しており、住民票を移す必要はなく、複数の自治体に登録できます。誰でも登録できる「ベーシック」と、一定の地域活動に参加する「プレミアム」の2種類が想定されています。地域の情報提供や交流、地域活動への参加を通じて、関係人口を増やすことを目的としています。
全国の自治体は、人口減少などの厳しい状況の中で、懸命に地域の活性化に取り組んでいます。そうした中、地域に暮らす人々だけでなく、地域外から関心を寄せ、応援してくださる方々がいることは、とても嬉しいことです。
私自身も、過疎の町の町長を務め、町民以外の多くの方々から応援をいただきながら、地域づくりに力を注いできました。町外の皆さんにも関心を持っていただき、応援したいと思ってもらえるような町をつくりたい。そんな思いで取り組んできました。
しかし、今回のふるさと住民登録制度には、何となく違和感があります。
それは、順番が逆ではないかということです。
人が登録すれば地域の魅力が高まるわけではありません。地域に魅力があるからこそ、そこに住んでいない人々も、その地域に関わりたい、応援したいと思うのではないでしょうか。
ふるさと住民を制度化することで、登録することに光が当たり、地域づくりの本質からずれてしまう危うさを感じます。
思い起こすのは、ふるさと納税です。
ふるさと納税は、本来、ふるさとや応援したい地域を支えるという趣旨で始まった制度です。しかし現在は、返礼品の獲得が大きな目的となり、本来の地域応援という趣旨が見えにくくなっている面があります。
制度をつくることによって、いつの間にか手段が目的にすり替わってしまう。ふるさと住民登録制度にも、同じようなことが起きないでしょうか。
「ふるさと」という言葉には、誰もが親しみや温かさを感じます。しかし、その冠がついているからといって、制度の中身まで良いものとは限りません。何を実現するための制度なのか、その目的を明確にする必要があります。
もちろん、ふるさと住民登録制度によって、これまで地域との接点がなかった方々が新たに関心を持ち、交流や地域活動への参加が広がる可能性はあります。そのこと自体を否定するものではありません。
しかし、登録者が増えることと、地域が元気になることは同じではありません。登録した方々が地域とどのような関係を築き、地域にどのような変化が生まれるのか。そのことこそが重要です。
地域づくりに近道はありません。
そこに暮らす人々が、自分たちの地域の良さを見つめ直し、課題に向き合い、知恵を出し合いながら、少しずつ地域の魅力を高めていく。その積み重ねが、地域外の人々の共感や応援につながるのだと思います。
国が取り組むべきことは、登録者数を増やす仕組みをつくることだけではありません。それぞれの自治体が主体的に地域づくりに取り組めるよう、条件整備を行ない、その活動をしっかり支えることが重要です。
ふるさと住民登録制度が、地域づくりを支える手段となるのか。それとも、登録すること自体が目的になってしまうのか。
大切なのは、登録者を増やすことではなく、地域の魅力を高め、地域に関わりたいと思う人々との豊かな関係を築くことです。
制度の開始に当たっては、この原点を見失わないよう、十分な検討が必要だと感じています。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年10月25日 その6999『逢坂誠二の徒然日記』8696回】
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