徒然日記
村上龍さん 【26年10月24日 『逢坂誠二の徒然日記』8695回】
1)村上龍さん
村上龍さんが亡くなりました。74歳、あまりにも若すぎるます。
衝撃は『限りなく 透明に近いブルー』。私が高校2年生のときでした。通学路の途中にあった日進堂で話題の本を買いました。ストーリーらしいストーリもなく、ただ場面の描写が続きます。読み進めても、小説の全体像がなかなか見えてきません。
これまで読んできた小説とは、まるで違う世界でした。しかし、米軍基地、米兵、薬物、セックスなどが、緻密で生々しい文体で綴られ、一場面、一場面が強烈な印象を残しました。受験勉強もそっちのけで、2、3度読み返したと思います。
その後も、何年か経ってから再び読み直した記憶があります。いつのことだったかは、はっきり覚えていません。それほど長く、私の心に残り続けた作品でした。
それを皮切りに、村上龍さんの新作が出るたびに、手に取って読むようになりました。
言及したい作品は数多くありますが、2000年に刊行された『希望の国のエクソダス』も印象深い作品でした。
閉塞感の漂う日本社会の中で、少年たちが既存の仕組みに疑問を抱き、自分たちの手で新しい社会をつくろうとする物語です。その舞台の一つが北海道でした。
地方の可能性を信じ、自分たちの地域のことは自分たちで決める。そんな思いで自治体の仕事に携わっていた私には、この作品が、まるで応援歌のように感じられました。作品に登場する風力発電についても、地域のエネルギーのあり方を色々と考える材料となりました。
「若者は仕事がないから地元を出ていく」
その一方で、
「人手不足だ。働き手がいない」
これは、現在取り組んでいる「北海道のもっと良い未来を考える」対話の中で、各地で寄せられた声です。
一見すると相反する問題ですが、これが地域の現実です。仕事がないという若者と、働き手がいないという地域の事業者。この間に、いったい何があるのでしょうか。
先日、この対話を振り返る話し合いの中で、偶然にも村上龍さんの『13歳のハローワーク』が話題になりました。
小学校高学年から中学1、2年生の頃に、この本に出会っていたらどうだっただろうか。あるいは、その頃から自分の住む地域にどんな仕事があり、どんな人たちが働いているのかを、もっと知る機会があったらどうだっただろうか。
子どもたちが早い段階から、仕事の多様さや地域で働くことの意味を知り、自分の将来について考えることができていれば、今回の対話で指摘されたような問題も、少しは違った姿になっていたのかもしれません。
もちろん、地域の雇用や賃金、働く環境など、解決しなければならない課題は数多くあります。職業を知る機会を増やすだけで、すべてが解決するわけではありません。
それでも、子どもたちの可能性を広げることと、地域の未来をつくることは、深くつながっているのだと思います。
村上龍さんは、2000年代初めには、仕事を求める人と働き手を求める側との間にあるミスマッチにも、問題意識を持っていたのではないでしょうか。
自分の好きなことや得意なことを知り、世の中にどのような仕事があるのかを知る。その機会が十分になければ、働きたい人がいても、必要とされる仕事に結びつかないことがあります。
20年以上前に、こうした問題に目を向け、子どもたちの将来の選択肢を広げようとした村上龍さん。その慧眼に、改めて敬意を表しています。
村上龍さんについては、まだまだ書きたいことがたくさんあります。しかし、今朝はスムーズな入力もできないため時間切れです。また機会を改めて、村上さんの作品や、そこから受けた影響について書きたいと思います。
村上龍さんのご逝去を悼み、心から哀悼の誠を捧げます。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年10月24日 その6998『逢坂誠二の徒然日記』8695回】
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