徒然日記

原発回帰、その費用とリスクを誰が負うのか 【26年9月23日 『逢坂誠二の徒然日記』8664回】

今日は秋分の日、そして彼岸の中日です。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、まさに季節の変わり目です。

1)原発回帰、その費用とリスクを誰が負うのか
昨日の朝日新聞、毎日新聞には、偶然なのかもしれませんが、両紙とも欧州の原発回帰を取り上げた特集記事が掲載されていました。
ウクライナ侵攻後、欧州では原発を再評価する動きが広がっています。しかし、これは単純な「原発復活」と捉えるべきものではありません。なぜ原発に回帰するのか。その一方で、どのような課題を抱えているのか。そして、その動きを日本はどう受け止めるべきなのか。三つの点から考えてみます。

【欧州が原発に回帰する理由】
第一は、エネルギー安全保障です。ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、ロシア産天然ガスへの依存が大きなリスクであることが明らかになりました。さらに中東情勢の不安定化は、化石燃料を海外に依存することのリスクを改めて浮き彫りにしています。
第二は、電力価格と安定供給です。天然ガス価格の高騰などを経験し、安定的に電力を確保する必要性が強く意識されています。欧州委員会も、原子力と再生可能エネルギーを、エネルギーの自立、安定供給、競争力を支える電源として位置づけています。
第三は、脱炭素です。原発は発電時の二酸化炭素排出量が少なく、再生可能エネルギーとともに脱炭素を進める電源として再評価されています。
さらに、AIやデータセンターの普及などによる今後の電力需要の増加も背景にあります。

【しかし、多くの課題を抱えた回帰でもあります】
原発は、既設炉を長期間運転できれば一定の経済性が期待される可能性が指摘される一方、新設となれば事情は大きく異なります。巨額の建設費と長い建設期間が必要で、欧州でも工期の遅延や建設費の膨張が問題になっています。
さらに、事故への備え、廃炉、使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物の処分という問題があります。原発を維持するために国が巨額の資金やリスクを引き受ければ、最終的には国民負担につながる可能性もあります。
また、エネルギー安全保障を理由に原発を進めても、ウランの採掘、転換、濃縮、燃料加工まで含めた核燃料の供給網を外国に依存する問題も残ります。軍事攻撃の標的になる問題もあります。

【本来、私たちが考えなければならないこと】
この二つの特集から読み取れるのは、「欧州が原発に回帰しているから、日本も原発を増やすべきだ」という単純な話ではありません。
原発、再生可能エネルギー、火力、蓄電池、送電網など、それぞれの電源や技術について、安全性、安定供給、コスト、脱炭素、エネルギー安全保障、そして将来世代への負担を「同じ土俵に載せて」比較する必要があります。
とりわけ原発については、発電時のコストだけではなく、建設費、追加安全対策、廃炉、使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物の処分、さらに事故が起きた場合の費用まで含めて考えなければなりません。地震が多いという日本固有の事情もあります。
欧州の原発回帰から考えるべきなのは、「原発が必要か、不要か」という結論だけではありません。誰が費用を負担し、誰が長期的なリスクを引き受けるのか。この視点が極めて重要です。
象徴的なのがベルギーです。ベルギー政府は現在、民間大手エンジーが持つ原子力事業全体を国が取得する可能性について交渉しています。原発を長期にわたって維持するために、民間企業だけでは維持管理し難いという問題を浮き彫りにしています。
原発の経済性を考えるなら、発電単価だけを見るのでは不十分です。建設から運転、廃炉、核廃棄物の処分、そして万一の事故まで、数十年、場合によってはそれ以上にわたる費用とリスクがあります。
それを誰が負担するのか。電力会社なのか、国なのか、国民なのか、それとも将来世代なのか。
そこまで含めて、日本のエネルギー政策を考える必要があります。

さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年9月23日 その6967『逢坂誠二の徒然日記』8664回】

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