徒然日記
利上げと自治体財政 【26年9月21日 『逢坂誠二の徒然日記』8662回】
1)利上げと自治体財政
先日、日銀は政策金利を1%程度から1.25%程度に引き上げました。
最大の狙いは、物価上昇がさらに加速することを防ぐことです。中東情勢による原油高や円安を背景に、輸入物価の上昇圧力が強まっています。
ここで対応が遅れ、物価高が定着すれば、後になってより急激な利上げが必要となり、景気への打撃が大きくなる可能性があります。また、日米の金利差が縮小し、過度な円安を抑える方向に働けば、輸入物価の上昇を和らげる効果も期待されます。
しかし、今回の利上げ後も円高には向かわず、むしろ一時1ドル=158円台まで円安が進みました。懸念事項が多いのが現実です。
一方、利上げには明確な副作用があります。住宅ローンなどの金利が上がり、家計の負担が増します。中小企業をはじめ、借入金の多い企業では資金調達コストが増え、設備投資や賃上げを抑える可能性もあります。物価を抑える効果よりも、国内景気を冷やす影響が強く出る可能性には注意が必要です。
最も難しいのはここからです。1.25%まで上げた後、さらに利上げするのか、いったん様子を見るのか。物価高を放置せず、同時に景気を冷やし過ぎない。その狭い道をどう進むのかが、これからの日銀の最大の課題です。
私がさらに心配しているのは、自治体財政への影響です。国だけではなく、多くの自治体も多額の地方債を抱えています。金利が上昇すれば、新たに発行する地方債や借換債の利率も次第に上昇し、将来の利払費を押し上げます。
例えば北海道の2026年度末の道債残高は、約4兆5,200億円と見込まれています。2026年度予算では、すでに公債費が6,122億円、一般会計歳出の約2割を占めています。金利上昇が長期化すれば、利払費が増え、政策に使える財源がさらに圧迫されることになります。
特に自治体には、国とは異なり独自に通貨を発行する権限がありません。医療、福祉、教育、道路や橋梁の維持管理など、必要な行政サービスを抱えながら、限られた財源でやり繰りしなければなりません。金利上昇による国の財政への影響も深刻ですが、自治体では、その影響が政策に使える財源や住民サービスに、より直接的に及ぶ可能性があります。
日銀は独立して金融政策を行う立場にあります。しかし、物価高を抑えなければならない一方、景気や家計、企業、さらには国や自治体の財政への影響も無視できません。
前回、私は日銀の姿を「匍匐前進から小走りになった」と書きました。しかし、その小走りも決して身軽なものではありません。いくつもの制約を抱えながら、物価と景気の狭い道を進まざるを得ない。日銀はいま、極めて難しい局面に立たされています。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年9月21日 その6965『逢坂誠二の徒然日記』8662回】
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