徒然日記

JR北海道「稼ぐ力」 【26年9月20日 『逢坂誠二の徒然日記』8661回】

午前4時の函館、まだ暗く、弱い雨が降っています。気温は18度程度。いかにも秋の中に入った朝、そんな雰囲気です。

1)JR北海道「稼ぐ力」
16日にJR北海道が打ち出した「稼ぐ力」の強化は、鉄道事業だけに依存せず、不動産、物流、観光など新たな収益源を育て、経営基盤を強化しようとするものです。その方向性は評価できます。一方、大規模な投資や借入、経営安定基金の運用などにはリスクも伴います。大切なのは、挑戦を止めることではなく、失敗した場合も鉄道の安全や経営基盤を傷つけない仕組みをあらかじめ整えることです。

【「稼ぐ力」の評価ポイント】
JR北海道の「稼ぐ力」に力点を置くこと、遅すぎた感はありますが、率直に、その方向性を評価したいと思います。
人口減少が続く北海道では、鉄道利用者を大幅に増やし、運賃収入だけで経営を安定させることには限界があります。そこで、鉄道以外の事業にも積極的に取り組み、会社全体として収益力を高めようという考えです。全国のJR各社も行っていることだと承知しています。

提言は、千歳線沿線を「イノベーションベルト」と位置づけ、不動産、物流、観光、スポーツ・エンターテインメントなどに戦略的に投資することを提案しています。さらに、外部の専門人材を登用し、本社から大幅に権限を委譲するなど、組織そのものを変えようとしています。

また、黄線区を単なる赤字路線として見るのではなく、釧網線や石北線などを北海道ならではの観光資源として捉え、「赤い星」「青い星」などを活用して新たな価値を生み出そうという視点も重要です。

【「稼ぐ力」のリスク】
しかし、挑戦には当然リスクがあります。
JR北海道は既に複数の大規模事業を抱え、今後約1,500億円の投資を予定しています。その半分以上を銀行借入で調達する計画で、さらに新幹線札幌延伸に伴う車両投資や工場近代化など、多額の資金需要も見込まれています。

新規事業が計画通りの収益を上げられなかった場合や、金利、建設費などの条件が変化した場合には、会社全体の経営を圧迫する可能性がありますし、収益が見込まれる時期も、ずいぶんと先になる案件もあるようです。
経営安定基金は、基金全体を毀損しないことを前提に、より柔軟な運用を検討するとしています。

提言はこうしたリスクに全く触れていないわけではありません。しかし、様々な事態を想定した定量的なリスク分析までは示されていません。

【リスクをどう克服するか】
だからといって、リスクがあるから挑戦しないということではありません。
重要なのは、挑戦できる仕組みと、当然ながら失敗を限定できる仕組みを同時につくることです。
新規事業ごとに投資額の上限、収益目標、借入額、撤退基準を明確にする。提言自身も「投資判断基準、収益目標及び撤退基準」を明確にする必要性を指摘しています。
さらに、経営安定基金には厳格なリスク管理を設ける。新会社への大胆な権限委譲と同時に、投資内容や成果を外部も含めて継続的に検証できるガバナンスを確立する。
そして何より、新規事業の失敗によって、鉄道の安全対策や必要な設備投資が圧迫されない仕組みを確保することが必要です。

「稼ぐ力」の強化は必要です。
しかし、大切なのは「大胆に挑戦すること」と「公共交通を担う企業として安全と経営基盤を守ること」を両立させることです。
その両輪があってこそ、「稼ぐ力」は北海道の鉄道を将来につなぐ本当の力になるのだと思います。

さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年9月20日 その6964『逢坂誠二の徒然日記』8661回】

  
  

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