徒然日記

安い国「日本」【25年12月11日 『逢坂誠二の徒然日記』8380回】

昨朝、函館市内を歩き、早朝便で上京しました。午前5時の都内、多少、雲が多めです。朝の気温は4度。日中は晴れ間が広がり、14度程度になる見込みです。

1)安い国「日本」
日本に外国人観光客が多く来られるようになりました。商売などをされている皆さんは、消費が増え、喜んでいることと思います。オーバーツーリズムの問題など課題もありますが、日本の魅力に惹かれて来日される皆さんの増加は、基本的には歓迎すべきことです。

来日客が増える大きな要因の一つが「円安」です。今の円は、単に為替レートが円安水準にあるだけではなく、より深い構造的な問題を含んでいます。

例えば、1ドル=100円の時代には、日本で300円のお菓子は3ドルで買えました。これが1ドル=150円になれば、同じ300円のお菓子は2ドルで購入できます。海外からの旅行者にとっては、より少ない外貨で同じ価値のものを買えるため、日本旅行が割安に映るのです。

さらに日本にはもう一つの問題があります。それは、この30年近く物価がほとんど上がっていないということです。多くの海外の国では物価が上がっているにもかかわらず、日本だけが大きく取り残されています。
例えば30年前、1ドルで買えたお菓子が今や3ドルになっている国では、同じものを買うために3倍のお金が必要です。日本人がそれを輸入しようとすれば、1ドル=150円の場合、30年前の100円が450円になり、4.5倍の負担になります。

ところが海外から日本に来る人にとっては逆の現象が起きています。自国でかつて1ドルで買えたお菓子は3ドルが必要になっているのに、日本では物価が上がっていないため今も1ドルで買える。さらに円安が進んだ結果、実際には67セントで買える計算になります。自国では3ドル、日本では67セント――これほどの割安感が日本に生じているのです。

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こうした状況をより正確に示す指標が「実質実効為替レート(REER)」です。
REERは、単にドル円などの一対一の為替ではなく、
日本の物価
主要な貿易相手国の通貨動向
各国との貿易量の比率
を組み合わせ、「国際的にみて円がどれだけ価値をもっているか」を総合的に示す指標です。

日本銀行の公表するREERは、現在、1970年代の水準にまで低下していると指摘されており、歴史的な円の実質価値の低下が進んでいます。
REERの低下とは、単なる名目の円安ではなく、

「日本の物価だけが上がらず、世界の物価が上がった結果、日本の商品・サービスが国際的に極めて安く見える」
状態が進んでいることを意味します。
外国人観光客の急増は、まさにこの「日本の極端な割安化」の反映でもあります。宿泊費、外食、買い物、交通など、日本旅行は世界的に見ても非常にコストパフォーマンスが高い状況です。

しかしこれは裏を返せば、
日本人の所得水準や購買力が下がり、国の競争力が弱まっているサインでもあります。
輸入品の価格上昇は生活を直撃し、家計を圧迫します。観光には追い風でも、国の基盤には逆風です。
私たちが本来目指すべき姿は、
「安いから選ばれる日本」ではなく、「価値があるから選ばれる日本」です。
そのためには、
 *賃金の底上げ
 *エネルギー・食料の安定供給
 *教育を含めた人への投資
 *技術・産業力の強化
など、国力を総合的に引き上げる取り組みが不可欠です。

「円安と物価停滞による割安ニッポン」に依存するのではなく、
「価値と魅力で選ばれる強い日本」
へと転換していくことが、持続可能な成長への鍵になります。

【25年12月11日 その6683『逢坂誠二の徒然日記』8380回】
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皆様のコメントを受け付けております。

  1. 「この30年近く物価がほとんど上がっていない 」のが問題とのことですが、これには違和感というか、問題の本質ではないように思います。

    「1ドルで買えたお菓子が今や3ドルになっている国 」に対し、日本の物価が変わっていないなら、その国の通貨は下落し円は強くなり、結果として日本の購買力は下がらないはずです。
    しかし、この円高要因にもかかわらず、実際に起きていることは大幅な円安です。
    欧州諸国も概して物価の上昇は緩やかで経済も低成長ですが、近年その欧州諸国にも抜かれているのは金額がドル換算されているからで、もし円が10数年前の水準(現在の約2倍)なら、日本のGDPや賃金水準は依然として世界でも上位です。

    つまり、円高要因を打ち消すほどの強烈な円安要因が発生していることこそが本当の問題でしょう。
    そして、円安要因としては輸入依存の貿易・産業構造、国際競争力の低下等々ありますが、最大の要因は何度か申し上げた通り、日銀の大量の国債購入で金融政策が破壊された(円の供給量は増え続け、インフレでも金利を上げることもできない)こと以外にないと思います。

    赤字国債頼みの結果としての日銀の国債引き受けの問題を放置したまま、政治や行政が「賃上げ」を叫ぶのは本質を見ない無責任な姿勢だと思います。
    「エネルギー・食料の安定供給、教育を含めた人への投資、技術・産業力の強化 」は重要だと思いますが、生産性や付加価値の向上を伴わない名目賃金の引き上げならインフレを悪化させるだけで無意味です。(もちろん最低賃金の引き上げや取引の公正化はまさに政治の役割で、大いに取り組んでいただきたいですが)

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