徒然日記
11月14日 その2275『逢坂誠二の徒然日記』
昨夜遅く、
バーゼル=ミューズル=フライブルグ ユーロ空港から、
ベルリン入りした。
この空港は、
フランス国境と
スイス国境上に立地している。
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車でフライブルグを出発し、
ドイツからフランス入りし空港のターミナルビルに入る。
航空会社へのチックインはフランス、
ビル内を歩いて、
手荷物検査場はいつの間にか
国境をまたぎスイスという変わった空港だ。
いかにも国間の行き来が自由なEUらしいが、
国境とは言った何だ…、そんなことを考えさせられる。
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ベルリンの緯度は北緯52度をこえる。
しかし最低気温はマイナス2度。
日中も8度まで気温があがる。
雪もない。
北緯52度と聞くと驚くが、
今日は、今のところ
その音感ほどの寒さではない。
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昨日も、
朝8時30分から19時にベルリン行LCCに乗るまで、
エネルギー付けの一日だった。
特にフラウンホーファー研究機構
太陽エネルギーシステム研究所では、
11時から14時過ぎまで、
会議室の隅に準備されたパンをかじりながら、
会議室から昼食にも出ずに3時間以上に渡って説明を聞き、
意見交換をした。
エネルギー三昧の時間が続く。
1)バイオエネルギー村
昨朝は、早い時間に
ティティゼ―ノイシュタットのホテルを出発し、
8時30分から、ザンクト・ペーター村で、
ルードルフ・シューラー村長から
再生可能エネルギーへの取り組みについて聞いた。
ザンクト・ペーター村は、
州からバイオエネルギー村に認定されている。
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ザンクト・ペーター村の人口は2,550人。
標高が500~1,200メートルに位置する。
農業と観光が主産業で、
村の中心部にザンクト・ペーター修道教会がある。
これは村のシンボルであり、村の中心的存在だ。
今の教会の建物は18世紀のものらしい。
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ここでは、
村の電気の100%以上、
熱量の75%を程度を、
自然エネルギーで賄っている。
発端は11人の村民だ。
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エネルギーを地域に取り戻す。
輸入に頼らない。
価格を安定させ村の活動を強化させる。
住民参加によって投資も地域から行う。
収益は地域に還元する。
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こんなことを目標に2007年頃、団体を立ち上げた。
その後、協同組合に発展させて、、
2009年には、
地域熱供給システム等に着工した。
組合員は200名。
組合員出資は、
一件1,500ユーロで、合計30万ユーロ。
組合員からの上限25,000ユーロの貸付金、
その合計は37万ユーロ。
これら等が原資となって、
現在、166戸に熱供給をしており、
来年夏には200戸になる。
電力は全て売電し収益を上げている。
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ザンクト・ペーター村は、小さな村だが、
標高差も大きいうえ、当然、起伏も激しく、
決して条件の良い場所とは思われない。
しかし、国や州などの後押しもあって、
こうした取り組みが実現している。
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どんなことであれ、
構想し、企画し、実現プランをつくり実行する。
さらにそれを具体的に動かすのは
容易なことではない。
小さなザンクト・ペーター村の取り組みから学ぶことは、極めて多い。
2)フラウンホーファー研究機構
雪の残る高地ザンクト・ペーター村から車が、
山間の道を滑るように下ってフライブルグに向かう。
目的地は、フラウンホーファー研究機構の
太陽エネルギーシステム研究所だ。
ここで11時から3時間以上に渡り、
太陽エネルギーにまつわる現在の研究概要について、
説明を受け、質疑応答を行った。
途中5分のトイレタイムを除いては、
パンを片手に昼食にも行かず会議に缶詰だ。
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ドイツは、2022年に原子力ゼロを決めた。
そしてさらに先進的な目標も定めている。
現在、ドイツの電力全体に占める
自然エネルギーの割合は25%だが、
それを2020年に30%、
2030年に50%、
2050年に80%にするという。
これは凄い目標だ。
そのためには、
・
自然エネルギーのベストミックス
・
送電網の整備
・
スマートグリットの進化
・
電力の貯蔵
こらの課題を克服しつつ、
目標に至る具体的手順を策定しなければならない。
さらにこれらの技術の
ある種の集大成ともいえる
電気自動車の開発も急務だという。
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しかしこれらの課題を克服するのは簡単ではないし、
特に価格との関係も重要なポイントだ。
しかし昨日の説明からは、
これを実現する強い意志を感じた。
どの視察意見交換も有意義だが、
この研究所での3時間は、
他の視察とは違った質の有意義さを感じた。
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太陽エネルギーシステム研究所での3時間は、
圧倒的な時間不足だった。
一晩中、話を聞き意見交換をしたかったが、
対応下さる皆さんの都合もあり、
もちろんそんなことはできない。
分からないことは、
電子メールでやり取りすることを約束して、
研究所を後にした。
3)ヴォーバン地区
14時過ぎから、気温の下がる戸外で、
フライブルグのヴォーバン地区の説明を受けた。
ここには、1992年まで、
フランス軍が駐留していた。
その返還跡地を、
持続可能なまちづくりのモデル地区として開発し、
現在、5千人が住んでいる。
かつて市役所で、
この計画を最初から担当した
ローラント・ファイトさんから、
熱心な説明を受けた。
正直なところ当初は、
寒さゆえに長時間の説明は辛いと感じていた。
しかし、開発コンセプト明確さ、
地域の多様性、住民意識の高さなど、
説明にぐいぐい引き込まれた。
鼻水をすすりながら、
気が付くと2時間が経過していた。
出来上がった街の説明は実に興味深いものだったが、
それに以上に肝心なところは、
計画策定や住民の合意だ。
これはさすがに時間不足で、
気温の下がる戸外では十分な質問をするのは無理だ。
次回の訪問を期しつつ、
後ろ髪をひかれながらヴォーバン地区を後にした。
密度の濃い一日を経て、
ベルリンのホテルに到着したのは午後10時になった。
それから遅い夕食をとり、ベットに入ったが、
一日に受ける情報と刺激が多く、
火照った脳みそを感じつつ眠りについた。
今日は、連邦政府や連邦議会を訪問する。
今回の訪問で、最も密度濃く、体力的にも厳しい一日となる。
今回はまだ、一本のソーセージも口にしていない。
ドイツは幾度も訪問しているがこんなことは初めてだ。
大好きなソーセージを食べるいとまもないほどに、
今回の視察の密度が濃い証拠だ。
一本のソーセージを楽しみにしつつ、
今日も全力投球で意見交換をしたい。
特にある研究者の次の言葉を重く受け止めつつ、
少なくなったドイツ滞在時間を有意義に活用したい。
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福島の酷い事故があった。
なのになぜ日本は政策が変わらないのだ。
日本の哲学を変える必要がある。
今はチャンスなのだ。
新しいモデルをつくるチャンスなのだ。
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この言葉を重く受け止めて、
さあ今日も、しっかりと前進します。
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2013・11・14 Seiji Ohsaka
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