徒然日記
9月5日 その2205『逢坂誠二の徒然日記』
今日は、超党派の現職、前職の国会議員で
福島第一原子力発電所を視察する。
早朝から生憎、雷の鳴る雨模様の天候だが、
私も、いわき市に向かって移動を開始している。
1)汚染水
政府が、東京電力福島第一原発の汚染水処理に対し
470億円の国費を投入することを決めた。
福島第一原発は、核燃料をどうすべきかの問題も大きいが、
水との戦いが相当に厳しい状況になっている。
素人ながら、福島第一原発の現場では、
雨水、地下水、冷却水、それに貯留水と、
少なくともこの4つの水に悩まされているはずだ。
今回の470億円の予算投入の目玉一つは、
凍土遮水壁だ。
現在、高濃度汚染水がたまる建屋地下に
一日400トンもの地下水が流れ込んでおり、
その処理ができない状況だ。
(そのうち一日300トンが海に出ているとの報道もある。)
そこで建屋周辺に、
一メートル間隔で
地表から三十〜四十メートルの深さに配管を埋め込み、
超低温の液体を流して土を凍結させて壁とし、
地下水をブロックするのが凍土遮水壁だ。
しかしこの凍土遮水壁は、大規模に実施した実例はなく、
技術の確立はこれから。
完成に二年はかかる。
当然、その間にも汚染水は増え続けることになる。
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この遮水壁だが、東電は早い時期から、
有効性について認識をしていたが、
今まで、その実施を見送っていた可能性があるようだ。
これは汚染水問題に関し福島県民らでつくる
福島原発告訴団が入手した
東電の内部文書によって明らかになっている。
告訴団によれは入手したのは、
原発事故から約三ヶ月後の2011年6月に、
東電から政府側にあてた内部文書だ。
この文書に、
発電所の四方に壁を造って遮水する
「地下バウンダリ」という対策について、
設計がまとまり次第、着手する予定とし、
「高濃度の滞留水(汚染水)をこれ以上海洋に流出させないために、
『後追いにならない備え』とする」と明記されているという。
しかし、記者発表に関する文書では、
遮水壁は設計次第で1千億円規模の工事費がかかる可能性も指摘され、
その工事費は、発表しない方針だったようだ。
その理由は、
「仮に一千億円レベルの更なる債務計上を余儀なくされることになれば、
市場から債務超過に一歩近づいたとの厳しい評価を受ける可能性が大きい。
是非回避したい」と記述されている。
国民の安全や地球の環境を守る対策が、
東電の延命のために、先送りを望んだということに感じられる。
こうなれば、今回の事故は人災の側面も相当に強くなるだろう。
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今回の国費470億円の、
もう一つの目玉は、放射性物質を取り除く新型装置の導入。
現在、34万トンもの膨大な汚染水を抱え込んでいる。
さらに遮水壁が2年で完成するまでの間に、
すくなとくとも貯蔵量は現在の二倍の70万トンに達する。
これらの水処理をするための新型装置の導入だが、
まさに自転車操業の様相を呈している。
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また汚染水を貯留する千トンタンクは、
2日半で一基つくらなければならない。
さらにボルト締め型タンクを、
耐久性のある溶接型に切り替える作業も必要になる。
汚染された貯留水も問題だが、
それを貯めるタンクの設置も
尋常ならざるスピードで進めねばならない。
しかも放射能汚染と背中合わせという劣悪な環境の中で。
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こうしたことを考えると、
汚染水処理は相当に厳しい現実に直面している。
今日は、こうした事実を
この目でしっかりと確かめてきたいと思う。
2)そもそも
もちろん福島原発事故は、水処理だけが問題なのではない。
原子炉内に溶け落ちた核燃料をどうするかが本丸だ。
内側の圧力容器の底は抜け落ちているらしい。
制御棒などと交ざり合った核燃料は
外側の格納容器に落ちているらしい。
これらは熱を持ち続けているし、
強い放射線を発している。
世界でこんなものを取りだした例はない。
仮に核燃料の取り出しに成功しても、
放射能の汚染された原子炉や建屋の解体ごみをどうするのか。
こんな問題も未解決だ。
水処理の問題の先に、
そもそもの本丸がそびえ立っている。
原発輸出に奔走するよりも、
こうした問題に国をあげて対処すべきだ。
さあ今日も、しっかりと前進します。
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2013・9・5 Seiji Ohsaka
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皆様のコメントを受け付けております。
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逢坂さま、お疲れさんです。
もともと廃棄物処理の目途もついていない原発を、こんなにたくさん作った電力会社と国との責任も問いたいところですが、事故の責任論でもう一つ欠けているのが製造者責任だと思います。東電の対応の悪さは、金惜しさが第一、次は技術はメーカーにあるのに彼らは責任ある当事者ではなく、下請け・業者扱いになっていることだと思います。家電や車をはじめとして一般の製品の製造者責任の仕組みはかなり充実してきましたが、東電の、特に経営者の対応の体たらくを見ていると、一般消費者のレベルとあまり違いがないようで、それなら最初から製造者責任も組み込んでおくことが必要だったのではないかと思います。
もう一つは熔融した燃料の行方です。
メルトダウンしたけれどメルトスルーしていない燃料はドロドロの塊が床にたまっているのではなく、大量の海水中に落ちたので、かなりの燃料が高炉の水砕に似た現象で微粉砕され、水中に拡散した可能性があります。
初期のころの汚染水処理が予想をはるかに上回る速さで、処理能力オーバーになったのは、この微粉状の燃料によるとも考えられます。
粉末は床にもたまり、発熱して、再び固まっているかもしれません。この場合は溶解したものが固まった場合より、脆い塊になるでしょう。
微粉状になったとすると最初の頃は、大量の冷却海水とともに海中にも流れ出ている可能性がありますが、原子炉近傍の海中の止水壁内の低質のコアサンプルを取れば、その辺りの事情はかなり分かってくるような気がします。
汚染水の問題や遮水の問題も同様ですが、こういったちょっと関心の高い素人にも疑問として思い浮かぶようなことに専門家達の調査が及んでいないか、調査しているけれどあまりにもインパクトが大きいからとか、原発を他国に売りつけるのに障害があるからという理由でフタをしているのか?
まだまだ解決の方向は見えない感じですね。 -
逢坂様、最後から2段目の「微粉状になった…」の段落内の、「低質のコアサンプル」の部分は「底質」の間違いです。要するに原発周辺の海底のコアサンプルを取ってもっと調べることで、色々なことがわかってくると思います。
お疲れさまです。
昨日、東電副社長が みのもんたさんのテレビ番組に出演されていましたが、
相手の目を見ずに話す姿には、不信感を覚えました。
水分量の多い中を視察に入られる皆さんの
心意気を感じます。
可能な限りの情報公開をお願いいたします。
お気をつけください。