徒然日記
深井龍之介さんを応援する 【26年10月31日 『逢坂誠二の徒然日記』8702回】
今日もしっかりと朝の活動を行います。
1)深井龍之介さんを応援する
しばらく前から、株式会社COTEN(コテン)の代表取締役CEO、深井龍之介さんの発言に注目しています。
深井さんは1985年、島根県出雲市生まれ。九州大学文学部を卒業後、東芝勤務などを経て、2016年にCOTENを設立しました。
私が深井さんを知ったのは、歴史を分かりやすく解説する音声番組「コテンラジオ」がきっかけです。この番組を聴いて、学校で習った歴史に対する私の認識は大きく変わりました。歴史上の出来事が、単なる年号や人物の暗記ではなく、当時の人々の思いや社会の仕組みと結びついた、具体的で生き生きとしたものとして感じられるようになったのです。
深井さんが、最近特に重視しているのが「人文知」です。
歴史、哲学、倫理学など、人間や社会について蓄積されてきた知識や洞察を、現代社会の意思決定に生かそうとしています。
人文知を単なる教養やビジネスの道具としてではなく、それ自体に価値のある知的基盤と捉え、研究の独立性を守りながら、社会との接点を広げようとしています。
参考:山口周・深井龍之介『人文知は武器になる』(文春新書、2026年)
そんな深井さんが最近、人類が真剣に取り組むべき課題として、三つのことを挙げています。
第一は、
大戦争を防ぐための研究です。
世界各地で紛争が続いています。
深井さんは、局地的な紛争が世界大戦や核戦争へと拡大することを、どうすれば防げるのかと問いかけます。
過去の膨大な戦争を体系的に分析し、戦争が拡大した場合と、拡大を防げた場合の違いを明らかにする。そのために、世界の研究者の知恵と資金を結集すべきだと訴えています。
この点、私は全く同感です。
例えば日本では、高市政権が国を守るためとして防衛費の増額や武器輸出の拡大を進めています。しかし、こうした政策が本当に日本の安全を高め、戦争の抑止につながるのか。その効果やリスクについて、十分な検証が必要です。
防衛力を強化すれば、必ず戦争を防げるというわけではありません。一方で、防衛力が戦争の抑止に役立つ場合もあるでしょう。
大切なのは、どのような条件のもとで戦争が抑止され、逆にどのような場合に緊張や対立が激化するのかを、歴史的事実に基づいて明らかにすることです。
そのためにも、深井さんが提唱する研究は極めて重要です。世界の英知を結集し、本格的に取り組むべき課題だと思います。
第二は、資本主義の進化です。
深井さんは、現在の資本主義では、企業などの組織が短期的な利益や数値化できる成果を重視するあまり、中長期的に社会に必要なことへ十分に投資できていないと指摘します。
教育、環境保全、平和のための研究など、すぐに利益が出なくても、将来の社会に欠かせない分野があります。
深井さんは、数値による評価を否定するのではなく、それを絶対視せず、中長期的な合理性にも投資できる新しい経営の仕組みが必要だと考えています。
これも、私の問題意識と深く重なります。
営利を追求する企業や組織にとって、中長期的な課題への挑戦は簡単なことではありません。どうしても目先の損得や短期的な成果が、判断の基準になりがちです。
しかし、目の前の問題に対応するだけでは、より良い社会、より良い未来を実現することはできません。
だからこそ、私は政治の役割があると考えています。
ところが最近の政治も、EBPM(証拠に基づく政策立案)や費用対効果など、数値で説明できる成果を重視する傾向が強まっています。
もちろん、客観的な根拠に基づいて政策を判断することは大切です。しかし、数値化しにくい価値や、成果が現れるまでに長い時間を要する政策まで、短期的な指標だけで評価してよいのでしょうか。
教育、地域社会や山林の維持、人口減少への対応などは、まさにその典型です。
中長期的な課題について十分に議論し、必要な投資を継続できる社会をどう構築するのか。
これは政治にとっても、避けて通れない課題です。
第三は、民主主義の進化です。
深井さんは、民主主義の本質は、社会を効率よく統治することではなく、一人ひとりの自由を保障することにあると強調します。
現在の代議制民主主義には、政治家と国民の間に大きな情報格差があるという問題があります。
この問題を克服するため、哲学者などの知見も取り入れ、民主主義の原理に立ち返りながら、新しい技術も活用して制度を進化させるべきだと提案しています。
私も長年、「情報は民主主義の原動力である」と考え、行政情報の共有や住民参加の推進など、さまざまな取り組みを進めてきました。
しかし、インターネットがこれほど普及し、誰もが大量の情報に接することのできる時代になっても、情報の非対称性は解消されていません。
むしろ、情報があふれる中で、何が事実なのか、何を信頼すべきなのかを判断することが難しくなっている面もあります。
政治家や行政が持つ情報と、国民が利用できる情報との間には、依然として大きな隔たりがあります。
この状況を放置すれば、民主主義そのものが衰退しかねない。私は強い危機感を持っています。
民主主義は決して完全な仕組みではありません。しかし、これに代わって、一人ひとりの自由と権利をより確実に保障できる仕組みが見つかっているわけでもありません。
だからこそ、現在の民主主義を一歩でも進化させるとともに、新しい社会のあり方を模索し続けなければならないのです。
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深井さんは、こうした課題を政治や行政だけに任せるのではなく、企業や経済人も主体的に関わり、人文知を活用して解決に取り組むことを呼びかけています。
いずれも簡単に答えが出る問題ではありません。しかし、だからこそ今、私たちの世代が取り組み始めなければならない。深井さんの発言からは、そんな強い問題意識が伝わってきます。
私は、この三つの指摘は、特定の世代や専門家だけの問題ではなく、あらゆる世代、そして各界各層の皆さんが考えるべきものだと受け止めています。
特に第二の指摘、私たちの社会が中長期的な課題に、今以上にしっかり取り組めるようになれば、多くの問題の解決につながるはずです。
目先の成果だけを追うのではなく、10年後、20年後、さらにその先の社会を見据えて考え、行動する。
そのために、歴史を学び、人文知を生かし、異なる立場の人々が知恵を出し合うことが大切なのだと思います。
深井さんの問題提起は、私自身が長年取り組んできた課題とも深く重なっています。
深井龍之介さんのこれからの発信と取り組みを、私は大いに応援したいと思います。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年10月31日 その7005『逢坂誠二の徒然日記』8702回】
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