徒然日記
国際学習到達調査から見えるもの 【26年9月13日 『逢坂誠二の徒然日記』8654回】
1)国際学習到達調査から見えるもの
OECD(経済協力開発機構)が、2025年に実施した国際学習到達度調査、PISAの結果を公表しました。
PISAは、世界各国・地域の15歳を対象に、知識をどれだけ覚えているかだけではなく、それを実生活の様々な場面で活用できるかを調べるものです。
今回は91カ国・地域の約76万人が参加しました。日本では高校1年生に相当する約6500人が参加しています。
日本の順位は、科学的応用力が5位、数学的応用力が5位、読解力が4位でした。
世界1位というわけではありません。しかし、OECD加盟38カ国に限れば、初めて3分野すべてで1位となりました。
日本の子どもたちが世界トップ級の基礎学力を維持していることは、率直に評価すべきです。
しかも日本は、基礎的な習熟度に達していない生徒の割合が、OECD平均と比べて低い水準にあります。これは、学校現場の先生方をはじめ、長年積み重ねてきた教育の成果でもあります。
一方で、気になる点もあります。
【学力格差の拡大】
今回の調査では、2022年から2025年にかけて、成績上位10%と下位10%の得点差が、科学、数学、読解力の3分野すべてで広がりました。
また、2015年と比べると、基礎的な習熟度に達していない低得点層の割合は、数学で5ポイント、読解力で6ポイント増えています。
平均点や国際順位が高いからといって、安心することはできません。
全体の学力水準を維持すると同時に、学習につまずいている子どもを早く見つけ、家庭環境などにかかわらず、必要な学びを保障することが重要です。
【読解力の低下】
今回、日本の読解力は前回より低下しました。
PISAの読解力とは、単に文字を読めるということではありません。文章や資料から情報を読み取り、それを関連づけ、内容を吟味し、自分で考える力まで含みます。
OECD全体でも読解力は低下しており、文章を十分に理解する前に答えてしまう「急ぎ読み」の増加も指摘されています。
SNSなどで短い文章に次々と接する機会が増えています。目についた言葉だけを拾うのではなく、長い文章をじっくり読み、その意味を考える力をどう育てるのか。これは日本だけではなく、世界共通の課題です。
【好奇心や主体性の弱さ】
日本では「物事の仕組みを知ることが好き」と答えた生徒は約6割で、OECD平均を下回りました。「新しいことを学ぶのが好き」といった項目でも平均を下回っています。
問題を正しく解く力は世界トップ級なのに、「なぜだろう」「もっと知りたい」と思う力は必ずしも強くない。
私はここに、日本の教育の次の大きな課題があると思います。
先生から正解を教えてもらうだけではなく、自分で問いを立てる。試してみる。失敗する。もう一度考える。他の人と議論する。こうした時間を、もっと教育の中で大切にする必要があります。
【AIへの対応】
日本の生徒は、学校の勉強でAIを利用する頻度が国際的に非常に低いことも分かりました。
だからといって、単純にAIをもっと使えばよいということではありません。
AIに質問すれば、瞬時にそれらしい答えが返ってきます。しかし、その答えが正しいのか、何が抜け落ちているのか、別の考え方はないのかを判断するのは人間です。
AIを「答えをもらう道具」にしてしまえば、自分で考える機会を失う恐れがあります。
一方で、自分の考えへの反論を求めたり、複数の考え方を比較したり、さらに問いを深めたりするために使えば、AIは学びを助ける強力な道具になります。
AI時代だからこそ、読む力、考える力、疑問を持つ力がますます重要になります。
世界トップ級の基礎学力を守る。
学力格差を広げず、誰一人取り残さない。
深く読む力を取り戻す。
好奇心、主体性、探究心を育てる。
そして、AIを自分で考えるための道具として使いこなす。
今回のPISAの結果を、順位だけに一喜一憂するのではなく、日本の教育を次の段階へ進めるための材料にしたいと思います。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年9月13日 その6957『逢坂誠二の徒然日記』8654回】
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