徒然日記

一日一話の理由 【26年8月19日 『逢坂誠二の徒然日記』8629回】

太平洋クロマグロの漁獲枠について、2027年から30キロ以上の大型魚を25%拡大することで関係国・地域が合意しました。ひとまず歓迎したいと思います。

地元の漁師さん、とりわけ定置網漁の皆さんからは、資源管理の重要性を十分理解しつつも、漁獲枠拡大を求める切実な声を伺ってきました。

定置網にクロマグロが入ると、漁獲枠の関係で、マグロだけでなく一緒に入った他の魚まで逃がさざるを得ない場合があります。漁業経営にも大きく影響します。

資源を守りながら、漁業者の暮らしも守る。資源回復の成果が、北海道・道南の漁業現場に適切に還元されるよう、今後の国内での漁獲枠配分を注視していきます。

1)一日一話の理由

一昨日、東京新聞のHPで、京大の藤原(ふじはら)辰史教授(歴史学)の発言記事が目に止まりました。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/508343

記事の中で私が気になったポイントは以下です。

*再軍備が戦争を呼び込む危険性

ナチス・ドイツでは、世界恐慌後の景気回復策として軍需産業が拡大し、再軍備が戦争への流れを加速させたと指摘します。藤原さんは、「戦争が起きたから再軍備した」のではなく、「再軍備したから戦争が起きた」という歴史に注目すべきだと述べます。

*日本の武器輸出解禁は大きな転換点

殺傷能力を持つ武器の輸出を認めたことで、日本は世界の戦争と恒常的に関わる国になりつつあると見ています。武器産業が経済や雇用と結びつけば、軍事への依存から抜けにくくなることも懸念しています。

*軍事依存が「言葉」を弱くする

藤原さんは、軍事力への依存が強まると、対話や言葉の力が失われると指摘します。政策の実態を覆い隠す曖昧な言葉が増える状況を、オーウェルの『1984年』に登場する「ニュースピーク」になぞらえています。

*国旗損壊罪など表現規制にも懸念

国家や権力を疑う表現が避けられるようになれば、戦争を止めるための言葉そのものが弱くなるとして、表現の自由を重視しています。

藤原教授の結論は非常に強いものです。

「戦争がまた始まるのではない。武器を生産し輸出する日本では、すでに戦争は始まっている」という認識を示し、軍事力だけに頼るのではなく、憲法や国連憲章に示された理念を、自分たちの言葉で語り続けることが戦争を止める力になると訴えています。

私が特に注目したのは、藤原辰史さんの、

「心理的にも経済的にも兵器に頼り始めると、言葉の信頼は必ず失われていく」

との指摘です。

外交や対話による平和の実現に言及すると、「お花畑だ」といった批判が出ることがあります。私は、これも藤原さんの指摘する状況の一つの表れではないかと感じています。

特に最近、国会答弁や政府の記者会見で、不都合な問いに対して「コメントを差し控える」とする場面が多く見られます。

重大な出来事について、本来ならば「何が起きたのか」「政府はどう考えているのか」「これから何をするのか」を具体的に語るべきです。ところが、定型句によって議論そのものを閉じてしまう。政治の言葉が、現実を説明する力を失いつつあるのです。

つまり、「言葉によって現実を明らかにする」のではなく、「言葉によって現実を見えにくくする」状態が生まれている。私は、そう感じています。

特に、兵器や武力を前提に物事を考え始めると、対話や外交、理念を語る言葉が軽視され、言葉そのものが意味を失っていく場面が増えます。

これは極めて危うい状況です。

私が今、「一日一話」を始めた理由の一つも、ここにあります。



「一日一話」では、具体的な政策について話すこともありますが、政治や社会を支える概念や理念について語ることも少なくありません。そのことについて、「理念よりも具体策を語るべきだ」との批判を頂くこともあります。

もちろん、理念だけで社会を前に進めることはできません。具体的な政策や行動が必要です。

しかし、目の前の問題に対する直接的な効果だけを求め続けていると、そもそも自分たちがどこへ向かっているのか、進んでいる方向が正しいのかを見失うことがあります。

具体策を正しい方向へ導くためにも、理念が必要です。そして、その理念を社会で共有するためには、言葉が必要です。

理念と言葉を失わない政治家の行動が、今ほど求められている時はない。

私は、そう考えています。

さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。

【26年8月19日 その6932『逢坂誠二の徒然日記』8629回】

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