徒然日記
米は所得政策に転換すべき 【26年7月30日 『逢坂誠二の徒然日記』8609回】
発災から72時間は、1人でも多くの命を救うための極めて重要な時間です。
昼夜を問わず活動を続ける自治体、消防、警察、自衛隊、海上保安庁、DMATをはじめとする関係者の皆さまに、心から敬意を表します。
被災された皆さまの安全を心よりお祈りするとともに、一人でも多くの命が救われることを切に願っています。
1)米は所得政策に転換すべき
農林水産省は、2025年に放出した政府備蓄米について、市場から買い戻す方針を明らかにしました。買い戻しの時期や数量については、2026年産米の作柄や需給状況を見極めた上で、8月下旬にも判断する予定です。
政府は2025年、コメ価格の高騰を受けて約59万トンの備蓄米を放出しました。その結果、政府備蓄米の在庫は、適正水準とされる約100万トンから約30万トンまで減少しています。
一方で、2026年6月末時点の民間在庫量は243万トンとなり、適正水準とされる180万~200万トンを大きく上回り、調査開始以来で最大となりました。農林水産省は、2027年6月末の民間在庫量についても263万~281万トンに達し、さらに増加する可能性があると見込んでいます。
民間在庫が増加した背景には、2025年産米の生産量が増えたことに加え、高値が続いたことでコメの需要が減少したことがあるとされています。また、2026年産米についても、現在の作付け意向から試算した生産量は需要量を上回る見込みとなっています。
こうした状況を踏まえ、政府は備蓄米の買い戻しがコメ価格に与える影響も考慮しながら、最終的な実施時期や買い戻し量を決定する方針です。
今回の政府の方針には、いくつかの重要な課題があります。
第一に、政府備蓄米は本来、凶作や災害などの緊急時に国民への安定供給を確保するための制度です。しかし今回は、価格高騰時に備蓄米を放出し、その後、市場から買い戻そうとしています。こうした運用は、備蓄制度が実質的に価格調整の手段として用いられることを意味します。備蓄制度の本来の目的と役割をどのように考えるのか、改めて整理する必要があります。
第二に、コメ価格への影響です。現在は民間在庫が過去最大となる一方で、米価は下落傾向にあります。この段階で政府が市場から大量に買い戻せば、市場への供給量が減少し、価格を押し上げる可能性があります。一方で、買い戻しを行わなければ、生産者価格がさらに下落する懸念もあります。消費者の負担軽減と生産者の経営安定という二つの政策目的を、どのように両立させるかが問われています。
第三に、政府による市場介入のあり方です。放出も買い戻しも政府による需給調整ですが、その判断基準が明確でなければ、生産者や流通業者は将来を見通すことができません。どのような場合に放出し、どのような場合に買い戻すのか、透明で予見可能なルールを示すことが重要です。
さらに、民間在庫は適正水準を大きく上回り、今後も増加する見通しです。そのような状況で備蓄米を買い戻すことが本当に適切なのかについても、十分な検証が必要でしょう。
今回の問題の背景には、日本のコメ需要が長期的に減少しているという構造的な課題があリます。備蓄米の放出や買い戻しは、あくまでも短期的な需給調整にすぎません。人口減少や食生活の変化が進む中で、国内のコメ生産をどのように維持し、農家の経営を支え、食料安全保障を確保していくのかという中長期的な視点に立った政策が求められています。
政府には、目先の価格変動への対応だけでなく、備蓄制度のあり方を含め、日本のコメ政策全体をどのような理念と方向性で進めていくのかを明確に示す責任があります。しかし、現時点では、その将来像は必ずしも明らかになっていません。
これまでのコメ政策は、生産量を調整することで価格を維持しようとする数量政策を基本としてきました。しかし、人口減少や需要減少が続く中では、この手法だけでは限界があります。今後は、市場では需給に応じた適正な価格形成を基本としながら、生産者には直接支払いなどによって所得を支える政策へと軸足を移すべきと考えています。
同時に、コメは国民の命を支える基幹食料です。世界的な気候変動や国際情勢の不安定化を考えれば、食料安全保障の観点から一定の国内生産能力を維持することは、国の重要な責務です。そのためにも、生産量の調整によって価格を維持する政策だけに依存するのではなく、所得政策と食料安全保障政策を一体として進める必要があると考えています。
政府には、短期的な需給対策を積み重ねるだけではなく、日本の稲作を将来にわたってどのように維持し、国民の食をどう守っていくのか、その明確な将来像を国民に分かりやすく示すことが強く求められています。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年7月30日 その6912『逢坂誠二の徒然日記』8609回】
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