徒然日記

SNS対策は「虚偽情報対策」だけで十分か 【26年7月16日 『逢坂誠二の徒然日記』8595回】

臨時国会の会期は明日までですが、延長するのかどうか先行きが見えません。力任せのその場しのぎ、政府与党の国会運営はあまりにも乱暴です。

1)SNS対策は「虚偽情報対策」だけで十分か
選挙運動におけるSNS対策を強化するため、公職選挙法と情報流通プラットフォーム対処法が改正されました。SNS上での虚偽情報や誹謗中傷、AIによる画像や動画が選挙に与える影響が大きくなっていることを踏まえた改正です。
今回の改正では、AIで作成・加工した画像や動画にはAIを利用したことを表示する義務が設けられました。また、SNS事業者には、選挙に関する虚偽情報などの悪影響を軽減するための「必要な措置」を講じることが求められます。

こうした改正は必要な一歩だと思います。しかし、今回の改正だけで十分かと言えば、私はそうは思いません。
今回の改正は、主として「投稿内容」に着目しています。つまり、その情報が真実か虚偽か、AIで作られた画像や動画かどうかという点です。
しかし、現在のSNSで起きている問題は、それだけではありません。

最近、「スマホ農場」と呼ばれる仕組みが注目されています。
これは、多数のスマートフォンや大量のSNSアカウントを一括して管理し、投稿の表示回数や再生回数、「いいね」、フォロワー数などを人為的に増やす仕組みです。
先日、TBSの「報道特集」では、「テスト」と書いただけのSNS投稿が、わずか6分で100万回表示され、30分ほどで1000件を超える「いいね」が付く様子が紹介されました。スマホ農場施設の規模や運営実態については関係者の証言による部分もあり、慎重に受け止める必要がありますが、少なくともSNS上の数字を人為的に操作するサービスが存在し得ることを示す内容でした。
さらに、AIと組み合わせれば、自然な文章を書く大量のアカウントを動かし、まるで多くの市民が同じ意見を述べているかのような状況を作り出すことも可能になります。

例えば、ある候補者への批判に対して、それを大量の偽アカウントが一斉に投稿し、「いいね」や表示回数を人工的に増やせば、「多くの国民が支持している」「世論はこう動いている」という印象を与えることができます。
つまり、操作されるのは情報の内容だけではありません。表示回数、支持の数、コメント欄の雰囲気、そして「多数派である」という空気そのものが作られてしまうのです。
民主主義は、市民一人ひとりが自由に情報を得て、自ら判断し、意見を形成することを前提としています。その過程が人為的に操作されるなら、民主主義の土台そのものが揺らぎかねません。

だからこそ、今後は虚偽情報対策だけでは不十分です。
表示回数や「いいね」の売買など、人為的な数値操作への対策、組織的な偽アカウントやAIボットへの対策、SNS事業者のアルゴリズムの透明性向上、そして選挙期間中に異常な情報拡散が起きた場合に検証できる仕組みづくりなども検討する必要があります。

もちろん、こうした対策は表現の自由を損なってはなりません。政府が政治的な言論の真偽を一方的に判断するような制度は避けるべきです。
しかし一方で、大量の機器や偽アカウントを使って、存在しない支持や反対をあたかも存在するかのように見せかける行為まで、表現の自由として放置してよいとは思えません。

SNSは、民主主義にとって大切な言論の場です。その自由を守るためにも、情報の内容だけではなく、情報がどのように拡散され、世論がどのように形成されるのかという仕組み全体に目を向けた制度づくりが、これからますます重要になると考えています。

さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年7月16日 その6898『逢坂誠二の徒然日記』8595回】

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