徒然日記
円安、物価高、金利上昇、財政不安 【26年7月3日 『逢坂誠二の徒然日記』8582回】
1)円安、物価高、金利上昇、財政不安
円安が止まりません。
短期的な背景には、日米の金利差がさらに開くとの見方があります。一方で、その根底には、日本経済の成長力の低下や財政への不安など、長年積み重なってきた構造的な課題があります。さらに、国内では長期金利の上昇も続いています。
いま日本は、円安、物価高、金利上昇、財政不安が同時に意識される、極めて難しい局面に入っています。
円安、物価高、金利上昇が同時に進むと、家計、中小企業、地域、住宅、財政、そして将来世代の暮らしに影響が広がります。
円安によって、食料、燃料、電気、ガスなど、輸入に頼る品目の価格が上がりやすくなります。賃金の伸びが物価上昇に追いつかなければ、実質的な暮らし向きは悪化します。特に、年金生活者、子育て世帯、低所得世帯ほど負担は重くなります。
中小企業も厳しい状況に置かれます。原材料や燃料を輸入に頼る企業では、仕入れ価格が上昇します。その分を販売価格に十分転嫁できなければ、利益が圧迫されます。さらに金利が上がれば、借入金の返済負担も増え、資金繰りが厳しくなる企業が出てきます。
地域経済にも影響します。運送、農業、漁業、建設、福祉、医療など、燃料費や資材費、人件費の上昇を受けやすい分野では、事業継続そのものが難しくなる場合があります。地域の担い手が減れば、暮らしを支えるサービスにも影響が及びます。
住宅ローンを抱える世帯にも注意が必要です。変動金利型のローンでは、金利上昇によって将来の返済額が増える可能性があります。住宅取得を考える若い世代にとっても、借入負担が重くなり、住まいや将来設計に影響します。
国の財政にも大きな影響があります。金利が上がれば、国債の利払い費が増えます。利払いが膨らめば、医療、介護、子育て、教育、防災、地域交通など、本来必要な政策に使える財源が圧迫されるおそれがあります。
こうした状況は一朝一夕に生まれたものではありません。日本では長年にわたり、賃金が十分に伸びず、働く人の努力が所得に結びつきにくい状態が続いてきました。人材育成、研究開発、デジタル化、新しい産業への投資も十分とは言えませんでした。その間に世界では、技術革新や高付加価値産業への投資が進み、成長力の差が広がりました。こうした差が、国際競争力や円の評価にも影響を与えていると考えています。
たとえば、農水産物を原材料のまま安く売るだけでなく、加工、冷凍、ブランド化、販路開拓によって高く評価される商品にする。観光でも、単に人数を増やすだけでなく、地域の文化、食、自然、体験を組み合わせて、一人当たりの消費額を高める。中小企業でも、古い設備や紙の事務作業に頼るのではなく、設備更新やデジタル化によって、少ない人員でも質の高い仕事ができるようにする。介護や医療、教育でも、人を減らすという意味ではなく、記録作業や事務負担を減らし、専門職が本来の仕事に集中できるようにする。
人を酷使することではなく、人の力をより生かし、働く人の所得を高め、地域の稼ぐ力を強くすることです。
足元の物価高対策に加え、日本経済そのものの体質を強くする取り組みが必要です。
第一に、賃上げを持続的なものにすることです。一時的な賃上げではなく、中小企業も含めて、より高い付加価値を生み出し、利益を確保し、その利益を賃金へと回せる経済構造を築かなければなりません。そのためには、介護、保育、医療、教育など人を支える分野の処遇改善を着実に進めることが重要です。人への投資は福祉政策であるだけでなく、日本の稼ぐ力と競争力を高める最も重要な成長戦略でもあります。あわせて、中小企業の設備投資、デジタル化、研究開発、人材育成を支援し、必要に応じて公的支援も組み合わせながら、持続的な賃上げを実現していく必要があります。
第二に、価格転嫁が適正に行われる市場環境を整えることです。原材料やエネルギー価格が上昇しても、下請企業や農林水産業者が価格に反映できず負担だけを抱える状況では、地域経済は疲弊してしまいます。下請法や独占禁止法の実効性を高め、優越的地位を利用した不当な価格抑制を是正する必要があります。また農林水産業は「安ければよい」という価格競争だけでは持続できません。生産コストを適正に価格へ反映し、生産者が安心して次の世代へ経営を引き継げる環境を整えることが重要です。生産者が再生産できる価格を確保することは、農家や漁業者を守るだけでなく、日本の食料安全保障を支えることにもつながります。
第三に、地域産業の競争力を高めることです。農林水産業、観光業、製造業など、それぞれの地域の強みを生かし、高付加価値化や食品加工、地域ブランドづくり、新技術の導入、輸出拡大などを支援し、若い世代が地域で働き続けられる魅力ある雇用を生み出していかなければなりません。
第四に、エネルギーと食料の安定供給力を高めることです。輸入への過度な依存は、円安や国際情勢の変化によって国民生活を直撃します。省エネルギーの徹底や住宅・公共施設の断熱化、地域に利益が還元される再生可能エネルギーの導入、農地や漁業資源の維持、担い手の確保などを進め、国内で支えられる基盤を強くする必要があります。
第五に、財政への信認を回復することです。必要な分野には積極的に投資しながらも、その財源と政策効果を国民に分かりやすく示し、中長期的な財政運営の見通しを明らかにすることが欠かせません。市場が「日本は将来にわたって責任ある財政運営を続ける国だ」と信頼できることが、国債金利や円への信認にもつながります。
円安や物価高への対症療法はもちろん必要です。しかし、それだけでは根本的な解決にはなりません。
一人ひとりの努力が、より高い付加価値と所得につながる経済をつくること。企業が利益を生み、その利益が賃金へ回ること。賃金が上がれば消費が伸び、企業の投資が増え、さらに地域や企業の稼ぐ力が高まります。その結果、経済成長と税収の安定につながり、財政への信頼も高まります。また、食料やエネルギーの国内基盤を強くすれば、円安や国際情勢の変化にも左右されにくい経済になります。
こうした好循環を取り戻すことこそが、円安、物価高、金利上昇という悪循環を断ち切る道です。
同時に、物価高や金利上昇の影響は、すべての人に同じように及ぶわけではありません。所得の低い世帯、子育て世帯、年金生活者、中小企業、地域の小規模事業者ほど、負担は重くなりがちです。だからこそ、担税力に応じた公平な負担と、所得再分配機能の強化も欠かせません。
暮らしを守ることと、日本経済の足腰を強くすることは別々の課題ではありません。その両方を同時に進める政治が、いま求められていると私は考えています。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年7月3日 その6885『逢坂誠二の徒然日記』8582回】
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