徒然日記

23年1月20日 その5627『逢坂誠二の徒然日記』(7324)

今日は、大寒、そして小正月です。
夜明け前の都内の気温は4度程度、空全体に雲が広がっています。日中は晴れ、気温は12度になる見込みです。一方、北海道は今日から荒れ模様の天候との予報が出ています。注意が必要です。

1)本当の食料自給率の向上に向けて
2021年のカロリーベースの食料自給率は38%です。62%を輸入に頼っています。ところがこの数値は本当なのでしょうか。
日本で使われる化学肥料のほぼ全量が輸入です。肥料の3要素は、窒素、リン酸、カリです。窒息はマレーシア、中国、リン酸は中国、カリはカナダ、ロシア、これが主な輸入国です。
2021年の飼料の自給率は25%です。乾草や稲わらなどの粗飼料の自給率は 76%ですが、穀類等の濃厚飼料の自給率は13%です。稲わらの輸入先は中国、飼料穀物はアメリカ、ブラジル、オーストラリアです。
穀類や果樹の種苗はほぼ全量国内生産ですが、野菜の種子は約9割が国外で生産されており主な輸入先はチリ、米国、中国です。
確かに日本の直接の食料自給率は38%ですが、その食料を作るための肥料、飼料、種子の多くを海外に依存しているのです。その点を考慮すると純然たる日本の食料自給率はもっと低く危機的な状態だと言えるのです。飼料、種子の自給率を加味すると日本の食料自給率は数%〜10 %程度と指摘する研究者もおります。もちろん化学肥料の輸入が止まれば、多くの作物の作付けはできないことになります。
武力を強化する安全保障も大切ですが、このような現実を知ると日本では食料安全保障が極めて脆弱なことが良く理解できます。食料自給率の向上は、国民の命と暮らしを守るためには必須のことです。その際は、なるべく日本由来の肥料、種、飼料を用い方向へと転換することも大事なことです。
ところが今の政府の自給率を高める取り組みは極めて心もとないものです。
酪農家は今、大変な苦境に追い込まれています。ウクライナ戦争や円安を背景に飼料代が上がり、さらに電気料金や燃料費が上がっています。しかし生乳価格は、乳業メーカーと農協の話し合いで決められるため、コスト増分を価格に転嫁しずらいのです。こうしたこともあって、酪農家の廃業が急速に進んでいます。全国の乳牛の酪農家はコロナ前から約1,700戸減少し、全体の 1割以上が廃業したとの情報もあります。これほど酪農家が厳しい状況にあるにも関わらず、政府はガット・ウルグアイラウンド農業合意に基づく、乳製品の輸入(生乳換算13万7千トン)を続けています。真に守るべきは、国内の酪農家であり、自給率の向上です。
また以前も書きましたが、国内資源を用いて食料を確保する有機農業への取り組みを加速させなければなりません。
昨年5月、農水省の「みどりの食料システム戦略」には、 2050年までに、有機農業の面積を全農地面積の25%にすることが盛り込まれました。令和2年の有機面積はたったの0.6%ですから、25%目標を掲げたことは大きな前進に見えます。しかしEUの目標は2030年で25%、ドイツは2030年に 30%です。このように他の国々は、有機農業を重要なものと位置付けています。日本の2050年25%の目標は周回遅れ、見劣りのする目標です。
30年ほど前、有機農業の話をすると、何か特異な取り組みのように受け止められ怪訝な顔をされる場面がありました。しかし今、有機農業は食料安全保障を考える上で、とても大切な取り組みです。真の食料自給率の向上に向けて本腰を入れねばなりません。

さあ今日もブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2023.1.20===
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皆様のコメントを受け付けております。

  1. 小正月は、1月15日または15日の前後3日間をさします。
    20日は二十日正月といい、正月祝いを締めくくる日と言われております。
    いずれも、正月祝いの締めを表す言葉ですが、失礼とは思いながら老婆心からメールさせていただきました。
    まもなく通常国会の開幕、ますますのご活躍を祈念します。

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