徒然日記
5月6日 その1744『逢坂誠二の徒然日記』
原発の電力が無い朝を迎えた。
多くの方から、このことについて、
数多くの連絡を頂いた。
この朝について、個人的には
特段高ぶる気持ちはない。
しかし、今後のことを思うと重要な朝だ。
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私は、原子力発電は、
実用的にも、
経済的にも、
政策的にも、
そして倫理的にも、
限界に来ていると感じている。
良いか、悪いかは別にして。
これまで多くの方や地域の労苦によって
原子力発電を今日の立場にしてきた、
その事実とその思いは
厳粛に受け止めねばならない。
その事実と思いを踏まえた上で、
この限界に来ている原子力発電を、
今後どうすべきかを、
国の総力を上げて議論し、
結論を導かねばならない。
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手元にある今朝の新聞各紙を拝見する。
原子力発電に慎重な立場から順に並べると、
私個人には次のような順番に感じられる。
・
東京新聞
・
朝日新聞
・
毎日新聞
・
日本経済新聞
・
産経新聞
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東京新聞は、
これまでもどの新聞よりも明確な物言いで、
原子力発電からの脱却を訴えてきた。
一面トップ見出しは、
「原発ゼロへ、未来へつなぐ」だ。
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朝日新聞も、
東京新聞ほどではないが、
原子力発電に対し否定的な立場をとり続けている。
今日の見出しは、
「原発ゼロ 分岐点」であり、
「電力 選ぶのは私たち」と題する、
解説を一面に掲載した。
その中で次のように述べている。
「原発をこのまま全く動かさないことも、
多くの原発を再稼働するのも
現実的でないと。
段階的に減らしていくべきだと思っている。」
「目指すのは、
国民が自分たちの手に
エネルギー政策を取り戻すことだ。」
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毎日新聞も一面に
「ゼロから考える好機」と題する
解説を載せている。
その中には次の記述がある。
これまでのことに対しては、
「低コストと成長を優先するあまりに
安全が軽視された」
「産学官の原子力ムラ推進複合体となり、
メディアもチェックの責任を負いきれなかった」
今後のことについては、
「安全を成長の犠牲にしないことだ」
「再稼働の遅れによる
産業界へのマイナス影響など、
失うものもがあることも
覚悟しなければならない」
「破綻しつつある
核燃料サイクルへ路線への未練を捨て
持続可能で現実的な処理工程を作る時期が来た」
最後には、
「この日を脱原発元年の
スタート台にしよう」
と結んでいる。
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読売新聞は
一面で事実を淡々と伝え、
二面に
「再稼働は拙速か」
と題する解説を載せている。
その中で、
「(原発が全停止した原因は)
あまりに拙劣な政府の対応にある」とし、
「枝野氏は
「40年後に原発をゼロにする」と発言しているが、
こちらは拙速に過ぎる。」
と政府の対応を大臣の発言を批判している。
「今や電力の約3割、
エネルギーの基幹を担うまでに育て上げた原子力を、
ここで本当に捨ててしまっていいのか。
全停止を機に、もう一度考えたい」
と結んでいる。
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日本経済新聞も、
一面で事実を淡々と伝えている。
3面で、
立地自治体や企業などの声を載せ、
電力不足や再稼働が遅れることへの
懸念を滲ませている。
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産経新聞は一面で、
「経済停滞、熱中症、技術途絶」と
「リスク連鎖」との見出しを掲げ、
「稼働原発ゼロ」を「異例の事態」とした。
二面の社説にあたる「主張」は、
次の見出しを掲げた。
「異常事態からの即時脱却を」
「安全技術の継承は生命線だ」
その中で、
大間原発などの「建設再開も目指したい」とし、
「資源小国にとって、
原発ゼロは自らの息の根を止める行為に等しい。」
「原発の再稼働で破局突入を回避したい」
と結んだ。
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新聞各紙の論調の違いは、
それぞれのものを見る時間軸の違いでもあり、
力点の置き方の違いでもある。
あらゆる視点を俯瞰しつつ、
国の総力をあげて、
原子力問題を議論しなければならないのだが、
そのためには、議論を先導する力が必要だ。
その大きな部分は
政治が担わなければならない。
さあ今日もしっかりと前進します。
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2012・5・6 Seiji Ohsaka
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