徒然日記

10月19日 その1546『逢坂誠二の徒然日記』



一昨日17日、日本時間22時にベルンを出発し、
昨日15時頃に成田に到着しました。

スイスからの直行便ではなく、
ドイツで乗り換える旅程のため、
随分と時間がかかってしまいました。

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今日の都内の空には、雲が広がっています。

いつものとおり4時過ぎには目が覚めたのですが、
今日は時差ボケもあり、二度寝をしてしまいました。

1)IPUベルン会議
本来であれば今日、
IPUベルン会議で、
私からの2度目のスピーチを行う予定でしたが、
国会の用務で帰国することになり、
残念でした。

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私の属した会議は、
中東や北アフリカの変革を念頭においた、
良い統治の実現をテーマにしています。

私の発言の前に、
二名から報告があることになっています。

その二名の報告概要は、
あらかじめ手元に届いており、
それを踏まえての私の発言になる予定でした。

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以下は、
16日の時点で私が予定していた発言です。
(発言は会議の動きによって臨機応変に変えていますので、
これはあくまでも16日時点のものであり、
実際に発言するとなれば、
もう少し違ったものになった可能性はあります。)

== 発言予定内容 ==

発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私は日本国会代表団の逢坂誠二と申します。

まず、本議題に関し、素晴らしい報告書を作成してくださった2名の報告者に感
謝を申し上げます。

また本年3月に日本で発生しました大地震による被害に対し、各国政府をはじめ
各国の各界各層の皆様から多大なご支援を頂いております。このことに対し、心
からの感謝、御礼を申し上げます。
現在、日本では、国の総力を結集して、この被害からの復旧復興に努めていると
ころであり、現在は一時の厳しい状態から随分と回復をして参りました。
参加各国の皆様におかれましては、こうした日本の復興の姿を、日本を訪問頂
き、直接、肌で感じて頂く機会があれば、幸いに思う次第であります。

さて中東・北アフリカにおいては、政治・経済・社会的課題が顕在化したことか
ら、いわゆる「アラブの春」と呼ばれる、数十年に一度の大変革が起きていま
す。
我々がこの一連の事象から得た教訓は、今、改めて、平和及び安全保障の推進に
は、「良い統治」を実践しなければならないことを痛感したことであります。
そして、良い統治の実現のためには、ジェンジェシ氏にも言及頂きましたし、ン
ウィムブ氏にまとめて頂いたとおり、説明責任と透明性、開発を管理する能力、
情報へのアクセスの容易性、幅広い国民の参加、公正で効率的な司法制度、サー
ビスと物の効率的な分配システム、法の支配の執行、自由かつ公正な選挙などが
必要であるとの報告は、極めて重要な指摘であります。

特に情報が適切に国民に公開されていることは、民主主義にとって不可欠なこと
です。
適切な情報公開は、民主主義を機能させる原動力となります。
逆に、適切な情報公開がなければ民主主義は機能しません。

日本の国会は、一部の例外を除き、本会議、委員会などはほぼ全ての会議が公開
されています。
さらにその議事録は、概要ではなく、発言そのものを逐語形式で作成し、さらに
ネット上に公開され、日本語語句による検索が可能となっております。
また近年の国会の様子は、画像でネット上に公開され、いつでも誰でもが見るこ
とができます。
このように日本国会の本会議、委員会議事に関する透明度は極めて高いものと
なっています。
もし皆さんの中に日本語に堪能な方がおりましたら、是非、それら議事録などを
検索されることをお勧めします。

一方、民主主義をより健全に機能させ、良い統治を実現するためには、概念上の
整理や法制度、社会の仕組みの充実だけでは、十分ではないと、私は感じていま
す。
国民自らが、その法制度や仕組みを基盤としながら、民主主義の主権者として、
他者との関わりや公の社会のあり方に対する考え方を、社会の変容に応じて常に
磨く必要があります。
そうすることが、日常生活の中で自由や平等を実感できる社会の構築に、寄与す
るものと考えます。
しかし、この「他者との関わりや公の社会のあり方に対する考え方を、社会の変
容に応じて常に磨く」作業は、簡単なことではありません。

この問題を解く鍵が、約200年前にフランスに生まれた社会学者トクビルの考
え方に含まれていると、私は考えています。
それは、国家や自治体などの「統治の仕組み」と「個人」だけの関係で「他者と
の関わりや公の社会」をとらえるのではなく、「統治の仕組み」と「個人」の間
に、「多様な公の担い手」が存在する社会のあり方です。
この多様な公の担い手は、主権者である国民の自発性と自律性によって機能する
ことが重要です。

私にとって、この最も理解しやすい例が、補完性の原理を徹底させた地域の自治
の活動です。
自分たちの身近なこと、自分たちができることは、なるべく多く、地域の自主性
と責任において行うことです。
こうした身近なことを共同の力で行うという努力によって、ともすれば他人任せ
にしがちな公の社会の問題を、現実性のある自分の問題として認識しうる可能性
や機会が高まると私は考えています。
この実践の積み重ねが、民主主義の主権者である国民の資質を高め、ひいては、
国家全体の良い統治の実現の源泉になるものと思います。

良い統治の実現のためには、国家の法律制度や社会の仕組みを整備することが必
要であると同時に、自発的、自律的な自治の活動が、大きな鍵を握っていると私
は考えているのです。

さて日本は、本年5月のG8サミットの際、我が国を含め世界にとって不可欠
な、この地域の平和と安定に資するため、三つの柱から成る中東・北アフリカの
諸改革・移行プロセスの支援策をお示ししました。

第一の柱は、公正な政治・行政運営の実現です。
我が国は、体制移行過程にある国々の選挙の実施に際して専門家の派遣、中東・
北アフリカ諸国における公正かつ効率的な行政の確立に向けた研修の実施、市民
社会の形成に資するメディア関連の機材供与等の支援を行っています。
また、この地域における格差是正及び安定のため、農村開発、貧困削減、水、防
災等の分野で、過去5年間に1,000億円以上の無償資金協力を実施しました。

第二の柱は、人づくりです。
我が国は、中東・北アフリカ諸国における職業訓練施設、教育施設の整備を推進
しており、こちらも過去5年間、平均で約1,200人分の職業訓練施設、約2万人
分の学校施設を整備してきました。
また、産業技術者の育成、高等教育及び科学技術教育の振興にも力を入れており
ます。

第三の柱は、雇用促進及び産業育成です。チュニジアにおける太陽熱発電プロ
ジェクト、モロッコの太陽光発電関係のプロジェクトといった、我が国の得意と
するクリーンエネルギー分野でのインフラ整備や、中小企業を含めた産業多角化
支援、日本の経験やノウハウの移転・普及を図っているところです。

また、これらの支援を継続していく上で欠かせないのは、中東・北アフリカ諸国
との経済関係及び相互理解の促進であります。
昨年12月にチュニジアで開催された第2回日本・アラブ経済フォーラムにおいて
は、双方の官民が連携して、太陽エネルギー、水資源、環境、インフラ、人材育
成・教育・科学技術、金融分野等で協力を進めていくことが合意されました。
また、次回会合は来年、日本で実施する予定です。
人的交流にも積極的に取り組んでおり、過去5年間に、中東・アフリカ地域から
500名以上の国費留学生を受け入れるなど、特に次世代を担う人間の交流を重視
しております。

中東和平は、この地域の平和と安定の要です。
日本は、今後とも国際社会と連携しつつ、アラブ諸国の諸改革及び平和的な民主
的体制への移行と日常的な自治の取り組みを後押ししていく考えです。

御清聴ありがとうございました。

== 以上、発言予定終了 ==

良い統治の実現のためには、
法制度や仕組みだけでは十分ではありません。

国民や市民が「公」や「他者」と関わる領域において、
どれだけ多様で自発的、自律的な活動ができるか、
あるいは行っているかが、
良い統治の実現を後押しするのです。

ついつい法制度や仕組みだけに
目が行きがちになりますが、
私の発言は、
それにプラスアルファの要素があることが
重要だとの指摘です。

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アフリカ諸国昼食会での個人的意見交換で、
この点を指摘したところ、
公正公平な選挙を行っているから、
良い統治が実現している等と胸を張る方もおり、
私の指摘するプラスアルファの要素への認識は、
高くない印象を受けました。

ですから実際に発言して、
どの程度の反応があるか分かりません。

しかし議事録に残して置きたかったのですが、
チャンスを逸し残念に思います。

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来年上期のIPU会議は、
ウガンダのカンクンで実施されます。

国際会議には、継続して出席し、
仲間をつくることが重要です。

是非、来年も出席したいと考えていますが、
党の方針でどうなるか分かりません。

できれば自費ででも参加したい感じがします。

さあ、今日もしっかりと前進します。
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   2011・10・19 Seiji
Ohsaka

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