徒然日記
9月21日 その2221『逢坂誠二の徒然日記』
一部雨のところもあるようだが、
全国的に天気は悪くなさそうだ。
ただし北海道と本州など、
北と南では、寒暖の差が大きくなる季節に向かっている。
1)経済紙
朝の通勤電車の中で、新聞を読む方が多いが、
最近、その変化が気になっている。
以前は、各人各様の
色々な新聞を読んでいる方が多かった。
ところが最近は、経済紙を読む方が、大半なのだ。
一般紙を読む方は、ごくまれだ。
国民の生活や仕事が、経済に大いに関係しているから、
これは当然とも感じつつも、私は一抹の不安を覚えている。
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経済紙は、
経済というフィルターを通して社会見て、
社会を論じている。
経済紙なのだから、これは当然だ。
経済というものは、
利益と経済活動規模の拡大が本質的な目的だ。
この経済の目的を突き詰めた結果、
主権者である個々人の立場を尊重するという
民主主義の価値観と対立することが生じかねない。
経営者や株主が意図していようがいまいが、
経済活動の結果、格差を助長したり、
人々を不幸に陥れるような結果となることがある。
こうした経済と民主主義のぶつかり合いを理解しつつ、
暴走しない節度ある経済活動に勤しむなら、
私は安心していられる。
しかし現実は必ずしもそうではない。
この経済の意図せざる暴走を食い止め、
企業や組織団体の利益ばかりではなく、
民主主義の主権者である国民個々人の立場を守り、
その存在を尊重する役割を担っているのが政治だ。
こうした経済と民主主義、
さらに政治との関係を理解したうえで、
多くの皆さんが経済紙を読むなら安心だ。
しかし現実には、
こんなことを考えている方は
少ないのではないかと感ずる。
特に政治の価値判断の基準に対し、
経済的な側面だけが強調されることには相当な注意が必要だ。
こうなってしまうと
政治の持つ役割の放棄に繋がり兼ねないからだ。
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私は、以前から、朝の電車内で、
経済紙を読む方の比率が高まっていることが気になっていた。
しかし今回特にそのことに対して懸念が強まったのは、
先の通常国会(183国会)における、
安倍総理の施政方針演説だった。
総理はこの演説の中で、
日本が目指す国のひとつの姿として、
「世界で一番企業が活躍しやすい国」であることを明言した。
これは一見正しそうに見えるし、
多くの方も納得しかねないことだ。
しかし経済は、
必ずしも格差是正や個々人の尊厳の尊重などいったことに、
配慮する必要はない。
したがって世界で一番企業が活躍しやすい国になったとしても、
国民が幸せになるかどうかは、不確かなのだ。
逆に、企業は栄えるが国民は不幸せになる可能性も否定できない。
だからこそ、政治の役割が必要なのだ。
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国のトップリーダーも、
経済と民主主義、政治の関係が分かっていなさそうだ。
それに加えて、
多くの国民に経済紙から得られる、
経済側だけの価値観が植えつけられる。
これでは、日本人の多くが幸せにはなれない…、
そんな気持ちを持つ私は、心配し過ぎなのだろうか。
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安倍総理の行うことに、
多くの国民は悪くはないと感じているように思われるが、
私には違和感が強い。
その理由は、目指す国家像に
根本的な違いがあるからだろう。
世界で一番企業が活躍しやすい国よりも、
「世界で一番国民が幸せな国」を目指したい。
2)福島第一原発視察 その13
標高10メートル地域の視察を終えて、
我々は再び35メートル地域にある免震重要棟に戻った。
本来は、5号機、6号機も視察の予定だったが、
時間の都合があり、今回は見送ることとした。
5号機、6号機は、
1〜4号機より3メートルほど標高の高いところに位置している。
今回の地震と津波による原子炉への被害は、
この3メートルの差が、明暗を分けたようだ。
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免震重要棟に戻り、
白い防護服から、再び青い防護服に着替える。
さらに入退域管理棟に戻って、
青い防護服から自分の服に着替えて、
福島第一原発を後にした。
その後、広野町で再度、ホールボディカウンター(WBC)で、
体内線量のチェックを行い、
Jヴィレッジに戻り、全ての視察を終えた。
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今回の視察では、
視察団全体で、カメラ1台、ビデオ1台のみの撮影が許された。
発電所を出る際には、その記録内容のチェックがあり、
不都合と判断された画像は、その場で削除となった。
不都合の判断は、
テロ等に対応するため、
危機管理上の観点から行っているらしい。
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今回、白い防護服を着用する
フル装備の状態で視察を行ったが、
あの着脱は、なんとも面倒なものだ。
加えてバスの乗り降り、施設への入退時には、
必ず靴カバーの着脱行為がある。
これらは、いかにも煩わしいが、
放射能汚染を拡大させないためには、
絶対に外せないのは当然だ。
白い防護服やマスクによって体が密封状態となるため、
気温の高い日は、熱中症や脱水症状が懸念される。
しかし顔全体を覆うマスクをしているため、
作業をしながら水分補給をすることはできない。
なんとも苛酷な条件となっている。
当然、小便、大便にも頻繁に行くことはできない。
大小便のたびごとに古い防護服を脱ぎ、
新たな防護服に着替えねばならないからだ。
そのため、ある方から漏れ聞いたところ、
作業員の中には、おとな用のオムツを着用して、
頻繁な防護服脱着を避ける対策を取っている方もいるという。
テレビの画面では伝わらない、悲惨なありさまだ。
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顔全体を覆うマスクは、体に相当なストレスを与える。
防護服を着用して視察開始後、
15分程度経過した時点で、
私は激しい頭痛に襲われた。
それは普段感じたことのない、不快感を伴うものだった。
頭だけではなく、
虫歯ではない歯までが歯茎から痛む、
そんな不快感を覚えた。
視察の間中、異変が続く。
それは私の体調のためなのかと、我慢をしていた。
免震重要棟で、マスクを外した途端、
その痛みと不快感が、スーッと消えさった。
たぶんあのマスクの着用によって、
体に何か悪影響を及ぼしたのだと思う。
後に伺ってみると、同行者の多くの方が、
私と同様の頭痛などの異変があったとのことだ。
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防護の装備をすることによって、
人体に相当なストレスがかかることを
身をもって体験することになった。
遮水壁の建設や使用済燃料の取り出しなど、
平時でも相当に困難な作業だ。
体に大きなストレスを与える防護の装備を付けて、
そうした作業を行うのは、筆舌に尽くし難い辛さだろう。
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9月5日の福島第一原発の視察によって、
実に多くのことを得ることができた。
まだまだ書き続けていたいが、
この報告は、今日で一応の一区切りとする。
さあ今日も、しっかりと前進します。
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2013・9・21 Seiji Ohsaka
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最近、2年前大雨で大災害に見舞われた熊野古道方面にいってきました。ダム放流で信じられないほど川の水が増水して堤防などが抉り取られ復興は少しずつ始まっているとはいえまだまだ手付かずのところも多く仮設住宅住まいの方もいるとか、メディアではほとんど伝えられないのでそのひどさにびっくりしました。企業が活躍する国もいいのかもしれませんが、安倍さんには、早くやっていただかなければならないことが、山ほどあるのをわかっておられるんでしょうか。私も世界で一番国民が幸せな国になってほしいと思います。
こんにちは。
その通りですね。明らかに方向を間違えています。
バブル期以前までは財界も政治も、もう少し節度があったように思いますが、
いまは経済のために政治を使う、それを少しも異様に感じない、といった社会
風土が醸成されてしまっているように見えます。
「国のトップリーダーも、
経済と民主主義、政治の関係が分かっていなさそうだ。
それに加えて、
多くの国民に経済紙から得られる、
経済側だけの価値観が植えつけられる。
これでは、日本人の多くが幸せにはなれない…」