徒然日記
23年2月18日 その5656『逢坂誠二の徒然日記』(7353)
1)検討の順番がアベコベ
岸田総理は、原発政策の大転換を表明しました。
*原発への「依存度低減」から「最大限活用」
*運転期間「原則40年(最大60年)」から「60年超運転可能」
*「新増設は想定せず」から「次世代炉に建て替え」
総理の転換は大きくはこの 3点に集約されます。再稼働にも積極的に取り組む方向です。しかし総理は、本当の意味で原発のことを理解していないように思われますし、60年を超えて運転する原発の安全性については何も検証しないままに延長を決めました。
そして昨日になってから急に以下の指示を、経産大臣と原子力防災担当大臣に行いました。
既存原発の運転期間延長への国民の不安払拭のため、新たな安全規制を具体化し、的確な安全審査に向けた官民の体制を整備するよう指示。
順番が完全に逆です。安全性を確認する手立てをしっかりと議論し、その上で安全の確からしさを高めることが可能であることを確認した上で、原発政策の転換を図るのならまだ理解できます。ところが原発を60年以上使うことを先に決めてから、規制や審査の内容を考えるというのですからアベコベです。原子力規制委員会で、ある委員が問題だと指摘したのもこの点です。
さらに私が最悪だと思うのは、西村原子力防災担当大臣が「首相の考えを原子力規制庁長官に伝達する」と説明したことです。規制委員会が政府の指示で、これらを検討するのでは委員会の独立性、自立性を完全に失わせることになります。本来、規制委員会が行うべきことは以下です。
*現在の原則40年(最大60年)運転ルールを守ること
*それを前提としつつ、政府から要請があれば、 60年を超える利用の妥当性、審査の方式などを検討すること
*その検討の結果、60年超の原発の審査が技術的に可能であり、新しい規制基準を守れる場合があることを確認して、やっと60年超の運転期間拡大にも道を開く(もちろん私は60年超の運転も原発利用の拡大も反対です。)
政府が原発の利用延長を決めて、それに呼応する形で、規制委員会がルールを決めるのでは、真の安全が守られる保証はありません。規制委員会の山中委員長は、完全に原発推進側の論理に取り込まれています。
さらに深刻なことがあります。この総理指示を受けて、西村経産大臣が電気事業連合会の会長を経産省に呼んで「(規制委の)厳格な審査に的確に応え、不断の安全向上に取り組む体制を構築してほしい」と要請したというのです。新しい規制の方式、基準もできていないこの段階で、なぜ電力事業者とあえて会うのか、全く必要のないことです。これも安全性よりも原発の推進を前提にした対応でしかありません。
本来、総理が行うべきことは以下です。
規制委員会に対して、60年の運転上限期間の中から規制基準適合審査などで運転していない期間を除くことは妥当か、仮にそれが妥当だとして、60年を超える原発の規制基準はどうすべきか、さらにその審査は可能か、それによって安全性は確認できるか。総理はこうしたことを規制委員会に問うた上で、運転延長の判断をすべきだったのです。
先に60 年超の延長を決めて、それに合わせて慌てて、規制基準を考えるのは、安全性を最優先したとは言えない延長を最優先したやり方です。
さあ今日もブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2023.2.8===
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お疲れ様です.浩太郎です。コメント、失礼致します。
1点だけ伺いたい事があり、コメントさせて頂きました。立憲民主党として、脱原発を目的としているのは、分かります。しかし、太陽光発電の様々な問題が発覚した事で、再エネの信用は低下しています。
そこで質問です。脱原発というゴールに辿り着く為ならば、他の政策を見直す事は可能でしょうか?例えば、鳩山イニシアチブ、つまり、二酸化炭素排出量の削減の方針を撤回するとか。
もし、撤回の意思が、元首相補佐官にあるのでなら、明日以降のブログにおいて、立憲民主党のエネルギー政策の優先順位をご提示下さい。