徒然日記
21年3月15日 その4952『逢坂誠二 の徒然日記』(6649)
ブルゴーニュワイン生産者のド・モンティーユ社による
函館でのワイン作りプロジェクトが始まっています。
一昨年7月には、
ブドウ苗の植樹祭が実施され、
私も出席しました。
その際、私は度肝を抜かれました。
日本人とフランス人からなるチームが、
北海道庁、函館市、国税庁、
さらには金融機関などを巻き込んで
用意周到に準備を進めていたことです。
こうした取り組みを日本人が行う場合でも、
行政の縦割りなどが障害となって相当に大変なことです。
しかし短期間で関係機関の了解を取り付けて
事業化に漕ぎ着けているのです。
====
昨日、函館日仏協会の定例会で、
その現地プロジェクトマネージャーの
バティスト・パジェスさんの話を聞きました。
植樹祭の時に聞いた話と合わせると、
この事業の用意周到さがより一層鮮明です。
函館の気候、土壌などを事前に相当細かく調べています。
ピノ・ノワールやシャルドネに適した気温であること。
雪が少なく苗への影響が少ないこと。
水はけが良いこと。
さらに圃場の改良もぬかりがありません。
地下1.5メートルまで掘削して
暗渠を埋め、その上に石灰岩敷き排水性を高めています。
麦を栽培し、それを堆肥化して散布も行っています。
50年以上継続して使う圃場に、
苗の植え付け前に十分な投資をしています。
話を伺えば当然のことに思われますが、
困難を乗り越える力と繊細さ、
その両方を併せ持っています。
====
北海道の魅力の一つは食です。
以前から北海道は単に良い品質のものを生産して出荷するだけで、
付加価値を付けるのが下手だと指摘されてきました。
典型例が伊勢の「赤福」です。
小豆は上川産と十勝産、餅米は名寄産、
いずれも北海道の原料です。
本来、北海道の土地で、北海道の原料を使って、
赤福のような名品を生み出すことが理想です。
こうしたことが北海道人は不得手なのです。
しかし昨今、その雰囲気も少しずつ変化しています。
その牽引役が、ワインとチーズなどです。
北海道の各地に小さなワイン醸造所と
チーズ工房が生まれています。
このチーズとワインが北海道の他の食にも刺激を与え、
地元で食することが大切だとの機運が広がっている、
私にはそう感じられます。
====
1989年、ベルリンの壁が崩壊しました。
その状況を早くこの目で確認したいと思い、
翌年、一人でドイツを訪問しました。
ベルリンでの視察を終え、
次にフランケンワインの産地ヴェルツブルグを訪問します。
当時、日本にはフランケンワイン、
あまり輸出されていませんでした。
あまりにも美味しいので地域外に出す前に
地元で消費されるのだという話を聞いて興味を持ったのです。
確かに地域では皆さんが、
フランケンワインを堪能している雰囲気がビシビシ伝わりました。
ブルゴーニュワインも気になっているものの一つだったため、
ドイツからフランスに回りブルゴーニュでのワイン事情も視察しました。
いずれの地方でも、
地場のものをとても大切にし愛でていいます。
その様子は、日本とは随分と違うとの印象を受けました。
1993年には、
ギリシア、スペイン、フランスの田舎を回り
農家民宿の勉強をして来ました。
この時も地元資源を利活用する執念を感じました。
1997年6月、真狩村にオーベルジュ「マッカリーナ」がオープンします。
多くの方々から高い評価を受ける一方、
地元での評判は芳しいものではありませんでした。
====
私は、地域振興の鍵は、世界的な視点を持ちつつ、
地元にこだわり尽くすことだと思っています。
今回のこのモンティーユの事業は、
北海道で地場に拘った様々な芽が育ちつつある中で、
北海道の全体の雰囲気を変える可能性があります。
その理由は、
目先の利益だけではない
遠い目線を感ずるからです。
今、北海道にはその遠い目線の意味を理解する
沢山の取り組みがあります。
モンティーユ社の将来を見据えた力強くかつ繊細な取り組みが、
北海道の様々な取り組みを体系的に整理する役割を果たし、
それらの価値を高める予感がします。
私も確実に応援したいと思います。
====
今日の月齢は 2です。
私の好きな細い爪のような月が見られるでしょか。
今日もブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2021.3.15===