徒然日記
7月11日 その3609『逢坂誠二の徒然日記』(5306 )
昨日、都内入りし、議員会館で
幾つかの打ち合わせ等を行なった。
今日は、朝の便で帰函し、地元活動に専念する。
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函館も暑いが、都内はもっと暑い。
昨日も寝苦しい夜だった。
1)共謀罪
今日午前零時、共謀罪法が施行された。
日本の刑法は犯罪を実行しなければ、処罰されない。
これが大原則だ。
ところが共謀罪法の施行で、
277もの対象犯罪は実行がなくても、
実行着手前の計画段階から処罰が可能となる。
計画を予め知るためには、
これまで以上に被疑者等への監視拡大が必要となる。
共謀罪の施行で、
捜査機関はその根拠を得ることになる。
もちろん今回は捜査手法について法改正はないため
共謀罪が施行されても
建前上は、捜査が変化することはない。
しかし共謀罪を立件するため、
捜査機関が捜査権を乱用する懸念がある。
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共謀罪処罰の柱は、犯罪の計画や合意だ。
組織的犯罪集団の活動として、
二人以上で犯罪の実行を計画し、
そのうちの一人でもが
資金の手配などの準備行為をした場合、
全員が処罰される。
しかし法文からは、
「組織的犯罪集団」、「計画」、「準備行為」は、
具体的にどのようなことなのかの定義がハッキリしない。
こうした定義が曖昧なため、
国連の人権に関する特別報告者からは、
人権侵害の恐れが指摘されている。
国会審議で政府は、一般の方々が、
処罰、捜査、嫌疑の対象にならないと強弁した。
その理由は、犯罪の適用は
組織的犯罪集団に限られるからだと言う。
しかし政府は組織的犯罪集団の周辺者が
処罰される可能性も認めた。
つまり組織的犯罪集団とは関係ない
環境団体や人権団体でも、
捜査機関が怪しいと判断すれば、
処罰、捜査、嫌疑の対象となる可能性がある。
犯罪の実行に合意したことを処罰するため、
捜査では外部からは分からない
心の中で考えていたことを調べることになる。
準備行為が行われなければ処罰できないが、
準備行為はATMからお金をおろすことなど
日常的な生活と外見上区別がつきにくい。
したがって準備行為であったどうかを捜査するために、
心で何を考えたかを調べる場面もあるだろう。
277の対象犯罪は、あまりにも範囲が広い。
国会審議でも、
組織的威力業務妨害、組織的強要、著作権法違反など、
一般の活動をする団体の活動も対象になる恐れがあり、
それら団体の活動が萎縮することも懸念される。
所得税法違反も含まれ、
節税と脱税の区別がつかない場合は、
税理士さんなどが捜査の対象になることも懸念される。
現在でも捜査の手法に色々と疑義のある事案もあり、
今後、さらにそうした場面が増える可能性もある。
実行前の自首によって、
自首したものだけが刑が減免される規定も、
相当に危うい規程だ。
物言えば唇寒し、そんな社会になるならば、
市民の自由な活動が萎縮する懸念も否定できない。
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もちろん共謀罪法が施行されて、
即、私たちの社会に
劇的な変化があるとは思われない。
しかし怖いのは、法施行後、
10年から15年後以降だと思う。
国会議論での様々な懸念、指摘を忘れた頃が危ない。
共謀罪法の法文だけを見て、
様々な捜査、検討が行われようになったときに、
定義の曖昧な概念が拡大解釈され、
社会全体に悪影響を及ぼし始める可能性がある。
今回、与党は衆参ともに強行採決をした。
参院では、委員会採決もせず、
中間報告という形により、
本会議で究極の強行採決をした。
強行採決の中で、
この共謀罪に賛成した皆さんには、
その賛成の重さを十分に認識してもらうとともに、
今も将来もおかしなことならないよう、
確実な監視をしなければならない。
さあ今日も、確実に前進します。
== 2017.7.11 ==