徒然日記
11月27日 その3383『逢坂誠二の徒然日記』(5080)
昨夜、都内で用務があり、一旦上京したが、
今日は、午前の便で帰函する。
1)官と民の中間
昨日、函館市の
ボランティア協議会30周年祝賀の席で
トクビルの話をした。
アメリカには、
官でも民でもない中間的な市民の
自発的な活動が多いことにトクビルは気づき、
その中間的、自発的な市民の活動が
民主主義を支えていることを知る。
こんな雰囲気の話だが、
こうしたトクビルの気づきは、
私のこれまでの仕事の重要な支えになっている。
祝賀会の挨拶なので、
昨日はサラッとしか話をしてないが、
トクビルなどに関連する話は奥が深い。
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商業活動を中心とする市民の活動のだけでは、
富の偏在が激しくなったり、
公のあり方が不十分になるなど、
社会は成り立たない。
そこに選挙で選ばれた正統性のある政治が介在し、
自由な市民の活動に一定程度の制約を行い、
官が偏在を是正したり、
市民が共通して恩恵を受ける仕組みなどを整備する。
以下は、以前の講演メモ。
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【新しい公共】
公共=官ではなく、
公共 > 官(国・都道府県・市町村)。
以下は参考:
ユンゲル・ハーバマス『公共性の転換』(未来社)
芸術サロン(欧州の中世から近世)
芸術談義→政治議論(批判や提案)
政府の政治の独占から、芸術サロンでの議論による人間関係など
→「もう一つの公共」、「パブリックな空間」
「行政的公共圏」に対する、「市民的公共圏」
「市民的公共圏」は非常に重要な公共性
→「新しい公共」(NPO、地域のサークル、教育・福祉等団体…)
【居場所と出番】
公共 = 行政・官 ならば
→市民は行政に要求、行政は市民に税でサービス(二項対立)
→社会の中で、市民が意味のある存在としての感覚を持ち難くなる
市民社会と行政的公共圏の協力
→居場所と出番のある、みんなが社会の中で意味のある存在
税と参加の関係
→大きな政府、小さな政府と市場、中位の政府(無駄排除と効果的)
【民主主義と議論】
民主主義の根源は、顔の見える議論や討議
議論や討議を通じて、他者の価値を認め、
自己の意見を変容させつつ、合意形成をする(プロセスを重視する)
「多用な価値の中から、ある一定の方向にたどり着く過程を共有
(公開・意見・参加・当事者など)するいとなみ」(逢坂)
議論や討議のプロセスがない
→他者への想像力を失う、合意形成、相手を説得する努力がなくなる
→イメージに基づくバッシング政治
以下は参考:
トクビル『アメリカの民主政治』、『アメリカのデモクラシー』
→アメリカでは、国家と個人の間にある
「中間的な領域」がしっかりしている
→中間的な領域に参加することによって政治の当事者意識を高める
→自分自身が生きている意味や社会的価値を高める
【ボンドとブリッジ】
以下は参考:
ロバート・パットナム『哲学する民主主義』
「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」
→人々の協調行動を活発にすることによって
社会の効率性を高めることができる「信頼」「規範」「ネットワーク」
といった社会的仕組みの特徴」
→討議による合意形成を前提とする水平な人間関係
行政を離れた市民活動の分厚さによって、
政府の統治効果や改革の進み方に差がでる(イタリア北部と南部)
『孤独なボーリング』
一人でボーリングをする老人
→行き過ぎた個人主義、トクヴィルの中間的領域の減少
→分厚い共同性を取り戻す必要
かつての共同体には、
包摂(インクルージョン)の中に潜む、
排除(エクスクルージョン)
ボンド(一定程度の絆のある人間関係)
ブリッジ(色々なサークルなどが緩やかに繋がって、人々が出入りできる)
【地域主権改革の意義】
権限や財源の移譲、義務付け枠付けの廃止などだけではない
多くの国民が社会活動に参画し討議することにより、
自分が生きている地域に貢献し、
よき社会を担うための一翼を担う。
自分が生きている意味を社会の中で確認できる。
【今後、自治体に求められるもの】
震災を経てより具体的実践的な施策、
真の地域の特色を把握、
さらなる自主性自律性の発揮と発信(受け身から能動へ)、
多様な連携と多様な担い手、さらなる資質の向上
お金、経済は大切だが…、
そこだけに目を奪われる愚かしさよ!!
==以上、講演メモ終了==
昨日のボランティア協議会の挨拶で、
かつてのこんな講演を思い出した。
さあ今日も、確実に前進します。
== 2016.11.26 ==
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新しい公共、共同体、中間集団は非常に大事だと思いますが、
結局のところ今のシステムの元では意思決定の為の力の傾きは変わらないので、
地方と中央の構造の問題が、政党の中でも同様に発生する為に期待薄なんじゃないかと見ています。
共産主義の根っこは全体主義ですが、共産党の主張が表向きクリアに見えるのは、
意思決定の障害になる献金を排除するところにあり、それが党内一致に繋がっているように見えます。
党のバックボーンの連合を筆頭に大企業やインフラの労組はアベノミクスが大好きなようですが、
それらの存在は、さびれた地方の労働者をも包摂している存在なのでしょうか?それは絶対に違うと思います。
「意思決定の為の力の傾き」がどこの何を起因としたものであるべきか?それはより民主的な意思でしょう。
最後に、ローレンス・レッシグ先生の動画が面白かったので紹介させて下さい。
ローレンス・レッシグ「皆で共和国本来の国民の力を取り戻そう」
https://www.youtube.com/watch?v=mw2z9lV3W1g&vl=ja